「エマニエル夫人」死す…がん闘病、7月には脳卒中も

[ 2012年10月19日 06:00 ]

1977年1月、映画「華麗な関係」の宣伝のため来日したシルビア・クリステルさん

 映画「エマニエル夫人」(1974年)で主役を演じ一世を風靡(ふうび)したオランダの女優シルビア・クリステルさんが18日までに、死亡した。60歳。代理人が明らかにした。

 クリステルさんは咽頭がんや肝臓がんを患っており、今年7月には、脳卒中を起こして倒れ、アムステルダムの病院に入院。その後、危険な状態が続いていた。代理人によると、17日夜から18日にかけて睡眠中に息を引き取ったという。亡くなった場所は明らかにされていない。

 共同電によると近く、身内だけの葬儀の後、埋葬される。

 1952年9月28日、アムステルダム郊外のユトレヒト生まれ。17歳でモデルデビューし、ミス・テレビ・ヨーロッパに選ばれたこともある。70年代に女優に転身。代表作のソフト・ポルノ「エマニエル夫人」では、バンコクで性の喜びに目覚めていく外交官夫人を熱演し、世界的スターの仲間入り。映画は日本でも大ヒットした。映画以外でも籐(とう)製の椅子にセミヌード姿で足を組んで座るポスターは、大きな話題になった。

 その後、ハリウッド映画にも出演し、出演作は50本を超えた。「続エマニエル夫人」(75年)「さよなら エマニエル夫人」(77年)「エマニュエル」(84年)などのシリーズのほか、「チャタレイ夫人の恋人」(82年)などにも出演した。

 晩年はアムステルダムで画家として活躍。私生活ではベルギーの作家ヒューゴ・クラウス氏との間に1男をもうけた。

 ▼「エマニエル夫人」を配給した日本ヘラルド映画宣伝部長だった原正人さん 予想外の大ヒットだった。観客は圧倒的に女性が多く、映画館に入りきれなかった。当時は女性の意識の変革期で、時代の風と合っていた。彼女の魅力を最大限引き出した撮り方で、文学的なエロチシズムがきれいに描かれている。それが女性に受け入れやすい雰囲気をつくったのだろう。60歳とは若すぎる。

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