増田有華=ドロシー 亜門氏演出「内容ぶっ飛んでます」

[ 2012年9月11日 09:00 ]

笑顔で舞台稽古を行う増田有華

 増田有華(21)主演のミュージカル「ウィズ―オズの魔法使い―」が今月28日、横浜市のKAAT神奈川芸術劇場ホールで開幕する。稽古を重ねる中でさまざまな発見をしており、その一つが14歳の主人公・ドロシーの内面に潜む「弱さ」。困難を乗り越えて歩んでいく姿は、AKBの一員として活動してきた、この6年半の自分と似ているという。

 「自分が14、15歳の頃にどういう気持ちで毎日過ごしていたかを思い出したら、ドロシーに似てるなって思ったんです」

 おてんばな14歳の少女・ドロシーが自分の住んでいた場所へ帰るため、仲間と助け合いながら魔法使いウィズのもとへ旅をする物語。弱さを克服して未来を切り開いていく状況がAKB加入直後の自分の姿と重なった。

 06年のAKBメンバーオーディションに合格して地元・大阪から単身上京。本来は明るく活発な性格だが、その頃は「毎日楽しかったかといえば、そうでもなかった」と振り返る。当時は自分が活動する場があまりなく「このままで大丈夫かなと不安で泣きながら家に帰る時もありました。急に全てが嫌だと感じる時もありました」

 天真らんまんなドロシーも時折「私は竜巻に吹き飛ばされたほうがいいんだわ」などと卑屈な一面を見せる。そうした部分に共感し「いきなり気がめいっちゃったりするところも似てるなと思います」と苦笑いする。

 ドロシーは脳のないかかし、心のないブリキのきこり、臆病なライオンに出合うことで「やらなきゃいけないんだ」と思うようになり、行動していく。

 自身も「仕事をもらって必要とされていることに気づいた。周りの人との出会いによって前向きになれた。そうした人生が重なる部分があります」と明かす。

 この主演は、AKB48グループ186人が参加したオーディションを勝ち抜いてつかんだ。少しでもドロシーらしく見えるように茶髪にしたり、過去の映像を見るなどして役の研究を重ねた。

 7月の最終オーディションでは、AKB派生ユニット「DiVA」で一緒に活動する梅田彩佳(23)と主役の座を争った。後日、その模様がテレビ番組で紹介されると、梅田から「ゆかの歌やっぱり凄いなと思った」と称えるメールが届いた。これに対し「私も梅ちゃんのパフォーマンスが好き」と返信した。「お互いが認め合ってるんだなと思った」とメンバーの支えに感謝している。

 この舞台には、多くのメンバーが関心を寄せている。8月27日に卒業した前田敦子(21)や大島優子(23)らから「見に行くから」と言われた。「こんなに周りに言われたのは初めて」とうれしそうに話した。

 稽古は8月1日からスタート。連日正午から午後8時まで演技や歌唱のレッスンに取り組んでいる。帰宅後も、予習と復習は欠かさないが、気持ちはいったんオフにして次の日に備えているという。

 「楽しいですよ。毎日充実しています」

 今、一番やりたかったことができている。そんな思いが言葉の端々から伝わってくる。

 演出の宮本亜門氏(54)とのコミュニケーションは円滑そのもの。「もうちょっときついかなと思ったんだけど、亜門さんは一緒に相談しながら稽古を進めていく人で、無理なことを要求されたりはしません。“増田さんの出したいように出せばいい”と言ってくれるので、安心して稽古に臨めています」

 宮本氏が出演者全員に投げかけた「恥ずかしさは捨てろ!稽古の段階から捨てないでどうするんだ!?」という言葉には胸を打たれたという。

 「確かにそうだと思った。人に見られているとどうしても恥ずかしさがある。だから、稽古から自分をさらけ出して失敗して…っていうのが一番大事かな」

 ミュージカルの根幹となる歌の指導者からは裏声を地声っぽく出す方法を学んだり「鼻にかけた歌い方をした方がいい」とアドバイスを受けるなどした。

 「今までの歌い方と全然違う」と明かす。

 舞台が決まってから毎日筋力トレーニングにも励んでおり、体つきも変わってきた。

 「超ど級パワフルミュージカル」と銘打たれた舞台。「私もやりながらぶっ飛んでるなって本当に思う」と笑いながら、舞台観賞の初心者や子供も楽しめることをアピールする。

 「明るくて楽しくて今の日本に必要なことが詰まってる。諦めそうなことがあっても、諦めずに頑張ろうって思える」

 開演まであと17日。心身ともに成長した増田がこれまで見たことのないパワフルなドロシーとして登場する。

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