最長11時間収録、控室には胃薬…「帰れま10」過酷ロケに密着

[ 2012年6月24日 11:00 ]

 今年4月に開局以来初の視聴率4冠を達成するなど好調なテレビ朝日。中でも高数字でけん引しているのが、バラエティー番組「お試しかっ!」(月曜後7・00)。看板企画「帰れま10」は、飲食店の人気メニューベスト10を当てるまで出演者が何時間も帰れない過酷ロケが売りモノ。その人気の秘密に迫った。

 「帰れま10」はドキュメンタリーのようなバラエティー。本部純プロデューサーは「素が出てくるところが面白さ。ただ、ここまで人間味が出てくるのは予想外でした」と打ち明ける。

 出演者は撮影場所の店舗の人気メニュー上位10品が当たるまで、注文して食べ続けなければならず、収録最長時間は09年11月にカラオケ店で行った11時間15分。平均でも5時間はかかるという。

 あまりの過酷ロケに、本気で帰ろうとしたり、散歩に出掛けた出演者もいた。出演依頼は「勘弁してください」と断られることもしばしばだ。

 始まりは、進行役を務めるお笑いコンビ「タカアンドトシ」のタカ(36)が若手芸人と飲んでいた時に、遊びでやったこと。番組が深夜の時間帯だった08年9月に初登場し、10年3月末に現在のゴールデン帯(午後7~10時)に昇格後も看板企画になっている。

 番組視聴率は4月30日に16・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークしたほか、14%前後で同時間帯1位を連発。タカは「正直ここまで人気になるとは思いませんでしたが、みんなで参加できる企画なのでそこが受け入れてもらえたと思います」と話している。

 番組作りの“隠し味”も効いている。グルメ案内の役割も重視して、2、3カ月に1度、1000~2000人に、登場してほしい店などのアンケートを行い、採り入れている。また、出演者はうんちくを語れる人、疲れても話し続けられる人、反応の面白い人を起用するようにしている。

 本部氏は「今後はスポーツ界やハリウッドからゲストなどを招いてみたい」と、さらなる予想外の面白さ発掘を狙う。

 25日放送の収録現場を取材した。場所は横浜市内の人気ファストフード店。「タカアンドトシ」、「さまぁ~ず」三村マサカズ(45)、「オリエンタルラジオ」ら出演者たちは開始前、「頑張るぞ」と笑顔。だが果たして最後まで元気でいられるのか?控室には胃薬が用意され、早々に手にする人も。

 データや定番メニュー、季節限定メニューなどを考えながら注文。驚いたのは、撮影用テープの交換の空き時間も本番同様のトークで相談していること。

 「楽しく早く帰りたい」という共通の目標があるからか、部活のような団結力。「芸人仲間に聞いたり、いろんなお店でやってきたので、何となく予想ができます」というタカの経験談やツイッターで人気商品を調べた出演者らが知識を持ち寄って、トイレに行く時間も惜しんで話し合っていた。

 ただ3時間が経過したころ、注文の品を食べる目がうつろになったり、あくびもチラホラ。正解を知っているスタッフの顔色をチラリとうかがう心理戦も展開された。

 そして、10位まで正解すると本気の歓喜のハイタッチ。スタッフも笑顔で大喜び。私も思わず立ち上がって拍手した。トシは「チームワークなので予想が当たった瞬間は凄くうれしい。長時間かかった時のラストは感動します」と醍醐味(だいごみ)を話す。この一致団結感が画面から伝わるのだろうと実感。今後来てほしいゲストを聞くとタカは「メッシ」となぜかサッカーの世界的スーパースターを指名。やはり意外性のある笑いを目指しているようだ。

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2012年6月24日のニュース