クミコ 東京で響かせた“再生ピアノ”の調べ

[ 2012年4月26日 06:00 ]

再生ピアノで熱唱するクミコ

 公演のため訪れた宮城県石巻市滞在中に東日本大震災に被災した歌手のクミコ(57)が25日、同じ石巻市の津波被害からよみがえった“再生グランドピアノ”を使ったコンサートを東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで行った。

 再生ピアノは、津波で1階が水没した楽器店で泥水につかってしまった30台のうち、4カ月かけて修繕された1台。

 「どう考えても直すのは無理というピアノだって再生したのだから、街も人も復活しないわけがない、必ず元気になるということを東京で訴えたい」とのクミコの思いから公演が実現。賛同した西田敏行(64)南こうせつ(63)ら9組のゲストが参加した。

 1曲目は、クミコがこのピアノを使用し録音した新曲「きっとツナガル」を弾き語り。♪つながれ つながれ つながれ 未来――。切なげな表情で歌い上げると、万雷の拍手が起こった。

 ピアノは浸水の影響でいまだ鍵盤が戻らなかったり、押しても音がしないこともある。しかし舞台上では美しい音を奏でた。全23曲。「もしもピアノが弾けたなら」などを歌った西田は「こういうピアノをドンと真ん中に据え、復興を旗振りできるというのは福島県出身者として本当にうれしい」と感激。

 石巻市などを対象にした募金活動などにも取り組んでいるクミコは「津波に負けず踏ん張ったこのピアノのもと、たくさんの人が共鳴して集まってくれた。被災地を忘れないためにも、こうして心でつながり、これからも発信していきたい」と話した。

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