会場からすすり泣き…吉永小百合 福島朗読会で“原発詩”

[ 2012年4月14日 06:00 ]

 女優の吉永小百合(67)が13日、福島市公会堂で原爆詩の朗読会を開いた。福島第1原発事故を受け、避難を余儀なくされている主婦らの“原発詩”も初めて地元で取り上げた。震度4の地震が起こるハプニングもあったが、中断することもなく、1200人を超える満員の客席からはすすり泣きも漏れた。

 NPO法人うつくしまブランチ理事の掃部(かもん)郁子さん(52)の手紙に心動かされて実現した朗読会。事故から1年が過ぎたとはいえ、なお深刻な状況にある福島に胸を痛めてのことだ。昨年7月、広島市で開かれた第57回日本母親大会で「地震の多い日本では原子力発電所をなくしてほしい」と訴えた吉永。この日も「カタカナのフクシマから早く漢字の福島に戻れますよう祈りながら読もうと思います」とあいさつして始めた。

 ステージ上にはイラストレーターの和田誠さん(76)から贈られた反原発ポスターが置かれた。その横で吉永は原爆詩の朗読から始め、原発詩に続けた。福島在住の詩人で高校教師の和合亮一さん(43)の「詩の黙礼」や同県富岡町から新潟県柏崎市を経て現在はいわき市の仮設住宅に避難している佐藤紫華子(しげこ)さん(83)の「原発難民」「ふるさと」「一時帰宅」などを切々と涙ながらに読み上げた。

 81年にNHKドラマ「夢千代日記」で胎内被爆による白血病に苦しみながらも懸命に生きる女性を演じたのをきっかけに、86年から核廃絶を訴えて取り組む朗読会。それに今は“脱原発”の思いも加わった。吉永は「被災後に生まれた詩を朗読できたことは意義深かった」としみじみ語った。

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2012年4月14日のニュース