強くなりたい…日本女子フライ級 五輪1枠を懸けた“殴り合いの人生”

[ 2012年3月19日 12:11 ]

女子フライ級での五輪出場を目指し練習を続ける新本亜也

「女たちのリング~ロンドンへ 熱き闘い~」

(NHK BS1 3月19日午後9時~)
 ロンドン五輪で初めて正式の競技種目になった女子ボクシング。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと、山崎静代(33)のミドル級での五輪挑戦が注目を集めるその陰で、フライ級では日本のトップに君臨する2人のファイターが壮絶な撃ち合いを繰り広げていた。

 強烈な右ストレートとスピードを誇る日本のエース、新本亜也(25)と、空手と柔道で鍛えたパワーが持ち味の女王・箕輪綾子(24)。代表選考を兼ねた2月の全日本選手権決勝で合間見えた両者。箕輪が新本に少差でポイント勝ちしたこの2人の戦いはボクシング界最高の試合と称された。観る者の心を揺さぶった魂のぶつかり合い。「実力では変わらない」とみた連盟も、この大会での代表決定を保留にせざるを得なかった。

 資金的にも環境的にも恵まれているとはいえない世界で、なぜ彼女たちが殴り合いを続けるのか。2人の答えは明確だった。「強くなりたいから…」。

 牛丼チェーン店で深夜のアルバイトをしながら競技を続けた新本は、応援を続けてくれた職場の人たちへの恩返しのため。高校時代、別の学校へ“出張”し練習を重ねた箕輪は、トレーニングを見守ってくれた指導者に感謝の気持ちを伝えるため。相手を打ち負かす強さだけではない、人間的な「強さ」を2人は追い続けている。

 新本はエースながら海外での戦いは2位止まり。箕輪は昨年の東日本大震災を機に一時はボクシングを辞める決意も。2人に密着した玄真行ディレクターは「挫折も知っている2人だからこそ五輪への思いは強く、さらなる強さを求めて殴り合いのリングに立ち続けている」と話す。

 高みを求めるその先に見えるロンドンへの道…。純粋なまでに、パンチを打ち、打たれ続ける彼女たちの闘いの姿を、NHK BS1では19日午後9時から「女たちのリング~ロンドンへ 熱き闘い~」と題して放送する。

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