AKB 風化させない!慰問ライブ“無期限”続行

[ 2012年3月12日 06:00 ]

黙とう後、涙を流す前田敦子(中央)

東日本大震災から1年

 AKB48が11日、東京・秋葉原の専用劇場で「東日本大震災復興支援特別公演~誰かのために」を行った。名古屋・栄のSKE48、大阪・難波のNMB48、福岡・博多のHKT48の姉妹グループも同時刻に開催。地震発生時刻には4カ所で全員が黙とうをささげた。高橋みなみ(20)は「大事なことは、下を向かないこと。前に進もう」とファンに呼びかけ、今後も変わらぬ支援を約束した。

 華やかな衣装ではない。研究生を含むAKB48の90人は、白いTシャツにデニムのショートパンツというシンプルな姿で観客250人の前に登場した。昨年5月から行っている被災地での慰問ライブの時と同じ服装で、震災復興応援曲「風は吹いている」を歌唱した。

 「1年がたつのは本当にあっという間だと感じています。多くの方の尊い命が奪われました。黙とうをささげましょう」。午後2時46分、高橋の合図で、中継で結んだ姉妹グループを含む246人が静かに目をつむった。1分後、岩手出身の仲谷明香(20)ら多くが涙を浮かべ、前田敦子(20)は嗚咽(おえつ)を漏らし泣き崩れた。26歳の誕生日を迎えた篠田麻里子も、神妙な表情を浮かべていた。

 震災後、メンバーは毎月1回、被災地を慰問。トラックの上で歌唱し終了後に握手会。また、CD収益や募金などで集まった総額12億5417万5973円を寄付。支援の手は緩めず、来月には岩手、宮城、福島の3県に「AKBus」と名付けられたバス計30台を寄贈する。

 仙台市出身で自身も自宅で被災した研究生の岩田華怜(13)。昨年の3月11日は車で夜を明かし、約1週間の避難所暮らしを経験。中学1年生の少女は「常にかみしめてる言葉があります。“いま私たちが生きているきょうは、亡くなった皆さんが生きたかったきょうです”」と訴えた。

 公演ではその後、ヒット曲「ヘビーローテーション」など計12曲披露。動画サイトで生中継され、被災地にもAKBのエネルギーは届いたはずだ。AKB48劇場の戸賀崎智信支配人は「まだ被災地を訪れていないメンバーがたくさんいる。時間を見つけて、全員を連れて行きたい」と話し、慰問ライブは「無期限で続ける」と明言した。

 4度の慰問をしている指原莉乃(19)は言う。「被災地では“私たちのことを忘れないで、この光景を忘れないで”と言われるんです。忘れちゃいけないなとあらためて感じます」。風化させないことが、AKB48の支援活動の使命となるだろう。 (伊藤 尚平)

 ≪入場料無料の代わりに募金≫終演後の午後4時から9時まで、劇場の入り口には募金箱が置かれた。国内ではAKB48、SKE48、NMB48の公式ショップなど6カ所、香港、台湾、シンガポールの海外の公式ショップ3カ所でも同様に募金箱を設置。この日の特別公演の入場料は無料で、その代わりに観客は募金をするというシステムを採用。全ての募金を合わせ、この日だけで204万515円が集まった。

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2012年3月12日のニュース