高倉健主演「あなたへ」 脚本ベースに小説化

[ 2012年2月22日 06:00 ]

小説になる「あなたへ」で文庫本の表紙に使われる高倉健の劇中ショット(C)2012「あなたへ」製作委員会

 8月25日に公開が決まった高倉健(81)の6年ぶり主演映画「あなたへ」(監督降旗康男)が小説になった。青島武氏(50)の脚本を原案に、「虹の岬の喫茶店」などで注目を集める作家森沢明夫氏(42)が書き下ろした。公開半年前の24日に幻冬舎から発売され、相乗効果を狙う。

 人気小説を原作に映画化されるケースは多いが、今回は脚本をベースに一冊の本に仕上げようという試み。「この物語に出合い心が動きました。人が人を思いやること、生きることの切なさを思いました」と語る高倉の意も受けて作業が進んだ。出版にこぎつけた幻冬舎は「脚本も素晴らしいものですが、単なるノベライズではなく、オリジナル小説として読んでほしい」と話している。

 「あなたへ」は、高倉主演の「あ・うん」(89年)などをプロデュースした故市古聖智氏が残した構想を、「ツレがうつになりまして。」などで知られる青島氏が脚本化。「遺骨を故郷の海にまいて」と遺言した妻の願いをかなえるため、富山刑務所で作業技官として働く主人公が、長崎まで1200キロの車の旅に出るロードムービーだ。ビートたけし(65)やSMAP草なぎ剛(37)らの出演も話題を呼んでいる。

 小説化を持ちかけたのは東宝サイド。幻冬舎は、「虹の岬の喫茶店」や昨年映画化された小説「津軽百年食堂」などで注目される森沢氏に依頼。快諾した森沢氏は自らレンタカーを駆って昨年9月の富山ロケから撮影現場を巡り、登場人物のディテールを肉付けしていった。「映画の尺ではどうしても表現しきれない部分を、小説ではできるだけ丁寧にすくいとっていこうと思いました」と語り「読了後に、自分の一番大切な人のことを思い浮かべてみてくれたらうれしい」と話している。

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2012年2月22日のニュース