谷村新司&石井竜也 震災遺児にエール熱唱

[ 2012年2月22日 06:00 ]

「風の子守歌」を披露する谷村新司(左)と石井竜也

 「毎日新聞創刊140年 毎日・スポニチグループホールディングス創立1年 感謝の集い」が21日、東京都文京区の椿山荘で行われ、約1200人が来場した。歌手の谷村新司(63)と石井竜也(52)がゲストで登場し、共作曲「風の子守歌~あしたの君へ~」を熱唱。2人は同曲の印税を毎日新聞社が設立した「毎日希望奨学金」を通じて東日本大震災の震災遺児支援に充てることを表明しており、谷村は「この曲をどんどん広めていきたい」と話した。

 歌謡界でも指折りの歌唱力を誇る2人が絶妙なハーモニーを奏でた。

 ♪いのちあれば めぐり逢(あ)えると君に…。荘厳なピアノバラード。穏やかな歌声は次第に力強くなり、会場の1200人は引き込まれていった。歌い終えると万雷の拍手に包まれた。

 谷村は「我々は印税を全額寄付しています。皆さんは実質的な応援をよろしくお願いします。できる限りいろいろなところでこの歌を伝えていきたい」と呼びかけた。

 この歌が生まれたのは昨年4月、震災による喪失感で自暴自棄になっていた石井が「歌なんて何の役にも立たない」「歌手なんて辞める」と谷村に気持ちをぶつけたのがきっかけ。谷村が「テッペイちゃん(石井)違うよ。こんな時だからこそ歌で復興を手伝わないといけない」と諭すと、気持ちが救われた石井はすぐに思いついたメロディーを谷村に送付。谷村もすぐに詞を付けて送り返し、昨夏に完成した。

 谷村は「テッペイちゃんに“ふるさとの風景がなくなった”“子供たちが日本に住めなくなるかもしれない”と言われたことが忘れられず、自分たちにできることは何か悩んだ」といい、その答えが震災遺児の支援だった。「毎日希望奨学金」を知り、この歌の著作権印税を寄付することを決意。今月8日にCDを発売した。

 同奨学金について、朝比奈豊毎日新聞社社長・毎日新聞グループHD社長は壇上で「社内から一過性の援助だけでいいのだろうかと声が上がり、震災で親や保護者を亡くした子供たちを末永く援助していこうと立ち上げた」と説明した。

 今年、毎日新聞の創刊140年、毎日・スポニチグループHD創立1年を迎え、朝比奈社長は「日本に毎日新聞があってよかったと思ってもらえるようにしたい」とあいさつ。森戸幸生スポーツニッポン新聞社社長・毎日新聞グループHD副社長も「次の140年に向かってグループ一丸となって、さらなる挑戦、日々の精進をしていきたい」と抱負を語った。

 パーティーには自民党の大島理森副総裁(65)や俳優の渡哲也(70)、歌手の森山良子(64)ら各界の著名人が出席した。

 ≪“食”で復興に貢献≫朝比奈社長はあいさつで「被災者に寄り添い、被災者のことを忘れない」という姿勢で新聞報道に臨んでいることを強調。その一環として、この日のパーティー会場には、被災した東北各県の農産物を使った料理が並んだ。

 和食、洋食ともに、タマネギ、ニンジン、水菜、キャベツなどは福島県産、トマトは宮城県産、コメは福島県産のコシヒカリを使用。寿司のブースの前には長蛇の列ができ、板前さんは注文をさばくのに大忙し。炊飯器のご飯はすぐになくなり、あちこちで「おいしい」の声があがった。

 またデザートブースには、福島県矢祭町産のイチゴ「ふくはる香」が山盛り。こちらも人だかりができ、「甘い」と大人気。会場全体で“食”で被災地復興に貢献した。

 ≪歴史的紙面に注目≫毎日新聞は1872年(明5)2月21日、東京日日新聞として創刊された。会場入り口には、現在までに発生した大事件を伝える紙面のパネルが展示され、来場者が見入った。1923年(大12)9月2日付の関東大震災を伝える紙面には「東京全市火の海に化す」の見出し=写真。36年(昭11)2月26日の「二・二六事件」や、41年(昭16)12月9日付の太平洋戦争開戦を告げる紙面など、歴史的に貴重なものも多数あり、140年の重みを感じさせた。

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2012年2月22日のニュース