小山薫堂氏が校歌制作…佐藤竹善とコンビで軽快ポップス

[ 2012年2月9日 06:00 ]

東北芸術工科大学の校歌「明日へ」を作詞した小山薫堂氏

 映画「おくりびと」の脚本で知られる放送作家の小山薫堂氏(47)が、教授を務める東北芸術工科大学(山形市)の校歌を作った。自身が作詞し、「シング・ライク・トーキング」の佐藤竹善(48)が作曲。異色タッグが作った曲は、校歌の概念に縛られないポップス曲の「明日へ」。佐藤が歌唱した同曲を4月4日にCD発売し、授業の一環としてCD販促活動を同大の学生が全面的に行う。

 「ウチの学校には校歌がない。小山くん、作ってくれませんか?」。同大のデザイン工学部企画構想学科長に就任したばかりの09年4月、入学式のあいさつで理事長が急に切り出した。小山氏は驚きつつも、これは良い機会と快諾した。

 単に校歌を作るだけでなく同学科の授業と連動させる形を模索。教授陣との話し合いを重ねる一方、20年来の友人で飲み仲間の佐藤に作曲を依頼した。昨年の東日本大震災後に本格的に制作を開始し昨夏に完成した。

 ♪明日へと 明日へと 共に踏みだそう この絆で――と歌う軽快なポップスで、誰もが思い描く校歌の印象は皆無。小山氏は「学生に愛されるだけでなく、佐藤竹善の歌う上質なポップスとして誰もが楽しめる楽曲を目指した」、佐藤は「学生が60歳になっても口ずさみたくなるような歌にした」と話している。

 授業との連動は昨年11月に開始。「どうすれば多くの人に知ってもらい、歌ってもらえるか」をテーマに、4月4日に発売するCDのPRや販売方法を学生に一任。CDジャケット、プロモーションビデオの作製など、通常はレコード会社が行う業務を学生が考案中。現在コンペを行っており、斬新なアイデアが出てくることが期待される。

 91年に開校した同大は東北唯一の芸術系大学で、学生の6割が東北出身者。震災で家族や親族が被災した学生が多数いる。完成した校歌を佐藤が初めて歌ったのは、昨年9月。震災で約半年延期されていた、昨年度の卒業式の場だった。

 「校歌のテーマは“希望”。この曲が日本中で長く愛されることによって、卒業生たちが大人になってもどこかでふと耳にし、東北の地で過ごしたピュアな日々と初心を思い出してくれれば」と小山氏。2人は19日に学内で校歌を生披露する。

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