反抗期を反省…林遣都 母に「仕事で恩返ししたい」

[ 2012年1月29日 06:00 ]

柔らかな笑顔を見せる林遣都

 「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」(監督飯塚健、2月4日公開)で主演する林遣都(21)。16歳の時にいきなり映画主演で俳優デビューして以来、今作品で銀幕主演7本目と引っ張りだこ。多感な思春期を撮影にささげた苦悩や、母親に対する思いなど、注目の若手俳優の素顔をのぞいた。

 演じたのは、実力とルックスを兼ね備えた世界トップ企業の御曹司。女性もうらやむような真っ白な肌に、強い意志を感じる大きな目の持ち主にはハマリ役だが、取材現場で見せたのは、役柄とは異なるナイーブな内面だ。

 「自分に自信を持っていて、僕とはかけ離れた役」と謙虚に語ると、女性に人気の高い現在とは不釣り合いな、小学校時代の淡い初恋も告白。思いを寄せた相手はクラスの“マドンナ”。愛情の裏返しか、普段からイジワルばかりで「塾の帰りに、その子と出くわして、“林く~ん”って声を掛けてくれたのに無視しましたね。素直じゃなかった」と苦笑する。

 映画は、親子といえど「他人に借りをつくるべからず」という教えで育った設定。物語にちなみ、実生活で借りのある相手を尋ねると「母親ですね」と即答。バツが悪そうに「父親は仕事で多忙。母親にしかストレスをぶつけられなかったんです」。思春期の大部分を俳優としての役作りにささげたことが理由だった。

 15歳の時にスカウトされて芸能界入りし、高校2年の時のデビュー作「バッテリー」での好演で主演映画が殺到。ただ、飛び込み競技を描いた「DIVE!!」では10メートルの高さから飛べるようになるまで3カ月ほど特訓。駅伝映画「風が強く吹いている」では約半年にわたって連日10キロ走。芸能活動と併行して送った滋賀県内での高校生活の思い出はほろ苦い。

 「友人は遊んでいるのに何で僕だけ、と悩みました。母親が僕に関する情報をネット検索しているのを見た時には、なぜかイラっとして、母親の目の前でノートパソコンの画面を手で、叩き割ったこともありました」

 そんな態度を改めるきっかけは09年。俳優業に専念するため単身、上京した。その際、母親に置き手紙を残した。「“ありがとう。行ってきます”とだけ書いた紙を、僕が壊したパソコンに、はさんで家を出ました」。今では母親とは週2、3回ほど電話で連絡を取り合う仲にまで修復。両親と高校生の妹が林を訪ねて上京する時には小栗旬(29)山田孝之(28)ら共演者らを引き合いに、自身の近況を報告する。

 「“みんなの知らないところで、あんな有名な人たちと、こんな仕事をしているよ”とか、家族らしい会話ができるようになった。母親には、この仕事を続けていくことで恩返ししていきたい」

 描かれるのは、人々との交流を通じて自立する少年の姿。スクリーンに映るのは林そのものだ。

 ◆林 遣都(はやし・けんと)1990年(平2)12月6日、滋賀県出身。主演映画「バッテリー」(07年)で、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今年は5月に映画「ガール」、その後も「莫逆家族―バクギャクファミーリア―」など公開作品が控えている。血液型O。

 ▽「荒川アンダー ザ ブリッジ」 中村光氏原作の漫画。少年誌「ヤングガンガン」に掲載中で、累計550万部を超える人気コミック。大企業の御曹司が荒川河川敷に暮らす人々との交流を通じて成長していく物語。昨年7月、毎日系で同キャストによる連続ドラマも放送された。

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