クミコ 「きっとツナガル募金」立ち上げへ

[ 2011年11月2日 06:00 ]

大震災から半年後の9月11日、再生ピアノで弾き語りをするクミコ

 歌手のクミコ(57)が歌う「最後の恋~哀しみのソレアード」(作詞・大石静)が、3度目のUSEN総合チャート1位になった。東日本大震災から半年たった9月11日には、宮城県石巻市の避難所で「再生ピアノ」の伴奏で歌い、被災地の人たちと大合唱となった。また、子供たちのために「きっとツナガル募金」プロジェクトを立ち上げる。

 よみがえった美しいピアノの音色とクミコが歌う「最後の恋」。震災から6カ月たったあの日、石巻市湊小学校で行われた「一歩だけ前へ~心の復興コンサート」。会場は石巻シャンソン愛好会、石巻市立女子高校合唱部、そして、集まった人たちがいつの間にか歌の輪に加わり大合唱となった。

 当初、大人の恋愛をテーマに脚本家の大石静さんが手がけたラブソング「最後の恋」は、いまや「復興」というキーワードのもと、「命の歌」へと姿を変えた。何事にも負けない人間の魂と愛。静かに炎を燃やし続ける命。3度目のUSEN1位は、「最後の恋」が多くの人のさまざまな思いに後押しされている証といえる。

 震災の日、石巻で惨状を目の当たりにしたクミコは、「歌なんてなんの力もない」「もう歌は歌えない」と悩み続ける日々もあった。複雑な心境は今でも晴れることはないというが、「命のために恋がある。私が歌うことで、被害に遭われた皆さんが一歩でも前へ踏み出せるお手伝いになるならこれ以上うれしいことはありません」と話した。

 そして、近く「きっとツナガル」プロジェクトも立ち上げることになった。被災地の子供たちのための募金活動で、音楽評論家の湯川れい子さん、医師で作家の鎌田實さん、落語家の笑福亭鶴瓶らが賛同している。「きっとツナガル」は、3月11日、避難先の山で一夜を過ごしたクミコが、その時見た被災地の夜空をモチーフに復興の思いを込めて書き下ろした新作のタイトル。湯川さんは「子供たちは、社会の未来です。国の財産、宝です。その子供たちが元気で楽しく健康に育つように取り組んでいきたい」と話している。

 同プロジェクトは4日、都内で正式に発表されユーストリームで生中継される予定。

 ≪「再生ピアノ」全国から見学者≫再生されたピアノは、現在、石巻市のサルコヤ楽器店に展示されている。復興の象徴となったこのピアノを一目見ようと全国から客が訪れている。クミコは「今後は、自分だけではなくいろいろな方にこのピアノの存在を知ってもらいたい。そして、日本全国、世界中に被災地への支援の輪を広げてもらいたい」と話している。

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2011年11月2日のニュース