勘三郎 本格舞台復帰「待っていたとは、ありがてぇ」

[ 2011年9月3日 06:00 ]

笑顔で囲み取材に応じる中村勘三郎

 1月から突発性難聴で療養していた歌舞伎俳優の中村勘三郎(56)が2日、大阪・新歌舞伎座で「九月松竹大歌舞伎」初日公演に出演した。7月下旬に長野県松本市で舞台に立ったが、約1カ月間の本興行は昨年11月の「大阪平成中村座」以来。約9カ月ぶりで本格的に舞台復帰した。

 夜の部の「お祭り」のみに出演。父で先代の勘三郎が1956年の長期療養後、復帰公演に選んだ演目だ。いなせな鳶頭(とびがしら)に扮した勘三郎に「中村屋!」「待ってました!」と客席から声がかかると、舞台から上手、下手、中央にそれぞれ頭を下げた。続けて、55年前の父にならい「待っていたとは、ありがてぇ」と応え、約1500人が詰めかけた満員の場内を沸かせた。

 終演後、報道陣に対応。「泣きそうでしたが、泣いてはいけない演目だから」と笑顔。初日を無事に終え、「お客さんに元気をもらいました。ちょっとホッとしましたね」と安どの表情を浮かべた。ただ、現在も耳鳴りが続いていることを明かし、「まだ不安ですが、なんとか1カ月頑張りたい」と前を向いた。

 新歌舞伎座の開場1周年公演。勘三郎の出演は移転前の77年以来34年ぶりで、新劇場は初めてだった。3日からは昼の部の「人情噺(ばなし)文七元結」にも出演することから「あしたが本当の初日」と気を引き締めていた。公演は26日まで。

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2011年9月3日のニュース