「去ってしまうのは惜しい」「引退を決めたのはよいこと」

[ 2011年8月24日 06:00 ]

報道陣の質問に答える島田紳助 

島田紳助 芸能界引退

 【識者の声】

 ▼元吉本興業常務のフリープロデューサー木村政雄氏 漫才ブームが起きた80年以降、ビートたけしさんや明石家さんまさんと新時代をけん引してきた人が、こうしたことで芸能界を去ってしまうのは惜しい。しかし売れっ子であればあるほど、社会的影響力は大きく、責任を自覚しなくてはならず、一定のけじめをつける必要からも引退はやむを得ないだろう。強いてエールを送るなら、ビジネスセンスやクリエーティブな才能があるので、タレント活動を辞めても違った形で才能を発揮してもらえたらと思う。

 ▼雑誌「上方芸能」発行人の木津川計氏 島田紳助さんの笑いは、強者として弱者をいたぶる暴力的な雰囲気があり、危うさを感じさせた。さわやかで潔癖な人物とは誰も思っていないはずで、今回のことを意外に感じる人は少ないのではないか。芸能界と、暴力団など裏社会との関わりは根深いものがある。しかし暴力団との関係を続けて芸能界のチャンピオンにとどまることをせず、引退を決めたのはよいことだ。蓄財もあるだろうし、何をしても生きていける人だと思う。

 ▼漫画家やくみつる氏 民放中心に出演していたので、暴力団関係者との交際が判明すればスポンサーの撤退などで活動できなくなる事情もあったのではないか。引退にまで踏み切ったのはずっと芸能界のトップを走ってきた充足感もあるからだろう。相撲なども含め、興行の世界では反社会的勢力との交際が従前通りにいかないという認識が広まっているが、なお本音と建前を使い分ける現状もある。直接的な犯罪行為ではないだけに「このくらいええんちゃうの」という感覚もあっただろう。

 ▼精神科医の香山リカさん 法に触れないのなら引退までする必要があったのか。芸能界と暴力団の癒着は昔から黙認されてきたが、もはや社会的に許されないとの判断だろう。島田さんは単なるお笑い芸人を超えた世の中のご意見番のような存在でテレビ業界への影響は大きい。1人の人気者に頼った番組作りのあり方を考え直す契機になるかもしれない。

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2011年8月24日のニュース