flumpool希望の証!仙台市内で応援ライブ

[ 2011年8月13日 06:00 ]

仙台の中学生と記念撮影をするflumpoolのメンバー

 今年のNHK全国学校音楽コンクールで中学校の部の課題曲「証」を作ったロックバンド「flumpool(フランプール)」が12日、宮城県大会に出場する各中学校の合唱部を集めて仙台市内で応援ライブを行った。参加20校のうち12校の167人が来場。東日本大震災で部員が亡くなった中学もあり、ボーカル山村隆太(26)は「負けるなよ!」とエールを送った。

 予定の10曲を終えると、山村がギターを抱えて「せっかくだし最後にみんなで歌おうよ」と呼び掛けた。ふだんは爆音がとどろくライブハウスに、しっとりとしたピアノの音や、生徒たちの澄んだ歌声が響き渡る。笑顔の男子生徒も、目を潤ませた女子生徒も、思いっきり口を開いてハーモニーを重ね合わせた。

 ♪前を向きなよ 振り返ってちゃ 上手(うま)く歩けない――この一節で始まる「証」の歌詞は山村が震災前に「仲間」をテーマに書き下ろした。その後、被災した少年少女たちらからは「背中を押してくれるような歌」「歌っていると前向きになれる」などの反響が寄せられた。それを知ったメンバーが「直接励ましたい」と、仙台公演の本番前に、もう1ステージを用意した。

 ほとんどの生徒がライブ初体験。緊張気味に始まったが、最後はタオルを振り、手拍子をして、思い思いに感情を表した。「仙台!おまえら負けるなよ!俺らの思いを全部届けるから、受け取ってよ!」。終盤には山村が心から叫んだ。

 県大会は20日に開催される。名取市立閖上(ゆりあげ)中学校は全3年生の55人で出場するはずだった。しかし震災で街全体が水没。当時2年生だった7人の尊い命が奪われた。亡くなった佐々木和海さん=当時(14)=の親友で同じアルトパートの小斎七海さん(15)は「凄い練習熱心で、みんなを引っ張ってくれてた」と目を真っ赤にして振り返る。やむなく転校した生徒もおり、3年生は現在45人。小学校に間借りして授業を受け、合唱の練習を続けている。遠藤真裕子さん(15)は「“証”は私たちのためにある歌に思えた。前向きになれた」。小斎さんは「亡くなった人の分まで頑張らなきゃ。和海ちゃんはここに来てるはず。一緒に卒業するんです」と笑顔で涙をぬぐった。

 メンバーたちはライブ後、生徒たちにお守りを手渡した。本公演でも気合十分の演奏を繰り広げ、山村は「この曲を通して1人じゃないと感じてほしい。仲間と“前を向きなよ”と言い合える絆を築いてほしい」と話した。

 ◆flumpool 山村、ギタリストの阪井一生(26)、ベーシストの尼川元気(26)、ドラマーの小倉誠司(27)による4人組。07年1月結成、08年10月に配信限定シングル「花になれ」でデビュー。09年から2年連続でNHK「紅白歌合戦」出場。「証」は来月7日にCD発売、同9日のテレビ朝日「ミュージックステーション」で合唱バージョンを披露する。

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