永遠のアウトロー俳優、原田芳雄さん逝く

[ 2011年7月20日 06:00 ]

11日に都内で行われた映画「大鹿村騒動記」の完成披露試写会に出席した原田芳雄さん(中央)だったが…

 映画「龍馬暗殺」「ツィゴイネルワイゼン」などで知られる俳優の原田芳雄(はらだ・よしお)さんが19日午前9時35分、上行結腸がんから併発した肺炎のため東京都内の病院で死去した。71歳。東京都出身。11日に行われた主演映画「大鹿村騒動記」の試写会に車椅子で出席し、別人のように痩せた姿を見せて体調が気遣われていた。悲報に、俳優仲間らからは驚きの声が上がっている。

 原田さんは08年11月に早期の大腸がんが発見され入院。約1カ月の静養を経て復帰後も抗がん剤治療を続けていた。5月4日に行われた「大鹿村…」のイベント直後に体調が悪化し、都内の病院に入院。亡くなる前日の18日までは意識もあり元気な様子だったが、この日朝に容体が急変し、息を引き取った。

 同映画には企画から携わり、並々ならぬ意欲を見せていた。確実に完成させるため体調を整え、クランクインも半年前倒し。サングラスでテンガロンハット姿の無骨でやや不器用な主人公は、原田さんが表現し続けてきた「男」の集大成だった。

 それだけに、命の残り火を作品のため燃やし続けた。11日の試写会出席をめぐっては、実はドクターストップがかかっていた。それでも「お客さんに見てもらうまでが自分の責任」と、制止を振り切って車椅子で出席した。

 のどの炎症で話すこともままならず、共演の石橋蓮司(69)がメッセージを代読。大きな拍手が送られると、涙をポロポロこぼし一礼した。

 ただ、16日に都内の劇場で行われた同作の初日舞台あいさつは急きょ欠席。阪本順治監督が代弁する形で「ヒット御礼あいさつには来たいと、やる気満々です」と強調していたが、その望みはかなわなかった。

 08年の入院時、内視鏡手術を受けたとされていたが、関係者によると実は開腹しており、家族らごく一部には余命2年が宣告されていたという。ミュージシャンで長男の喧太さんは「4年前の手術以来、何度もヤマを乗り越えた。主治医からも、見事な闘病生活だったと言ってもらった。役者・原田芳雄の魂は生き続ける」とのコメントを出した。

 ≪最後の舞台あいさつ≫11日の「大鹿村騒動記」試写会 舞台あいさつの終盤に、長女・麻由に車椅子を押されて登壇。共演の石橋蓮司が「きょうはどうもありがとうございます。ゆっくりとご覧になってください。原田芳雄」とメッセージを代読すると、感極まって涙を流し、握りしめたタオルで目頭を何度も押さえた。大きな拍手が送られると客席に向かって手を合わせ、深々と一礼した。

 ◆原田芳雄さん葬儀日程
【通夜】 21日(木)午後6時
【葬儀・告別式】 22日(金)正午
【場所】 青山葬儀所=東京都港区南青山2の33の20
(電)03(3401)3653
【喪主】 長男喧太(けんた)氏

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