三枝“六代桂文枝”襲名…談志猛反対「ばかやろう」

[ 2011年7月17日 06:00 ]

都内で「六代桂文枝」の襲名発表会見を行った桂三枝(中央)

 上方落語協会会長の桂三枝が68歳の誕生日を迎えた16日、都内で「六代桂文枝」の襲名発表会見を行った。69歳となる来年の誕生日に、正式に襲名。上方落語の大名跡だけに「文枝の名ではコケにくい」と、司会を務めるテレビ朝日「新婚さんいらっしゃい!」(日曜後0・55)は襲名後も桂三枝の名前で続けることを表明。落語立川流家元の立川談志(75)からは襲名に猛反対されたことも明かした。

 文枝一門の定紋「結び柏」の紋付きはかまで登場した三枝は、硬い表情で深々と一礼。「文枝という名前はあまりにも大きい。三枝への愛着もあって悩みに悩みました。きょうで68歳。(襲名するなら)これがギリギリ」と決断。「平成の文枝を作り上げ(所属する)吉本興業、上方落語に恩返しをしたい」とあいさつした。

 桂を名乗る落語家をさかのぼると、すべて初代文枝にたどり着く大名跡。それだけに襲名後は、これまで以上に落語界からの視線も厳しくなる。「新婚さんいらっしゃい!」では、新婚夫婦の仰天エピソードを聞いて椅子から転げ落ちるリアクションが定番。「文枝の名前でこけるわけにはいかない。バラエティー番組には三枝で出演したい」と、2つの名前で活動する異例のプランも明かした。これまで220噺(ばなし)を生み出した創作落語も「今後も三枝の名前で作っていく」と宣言した。

 五代目は後継者のことは指示せず、05年3月に死去。それだけに当初、襲名は頭になかった。2年半ほど前から「直系が継いできた文枝を、ほかの一門に継がれたら申し訳が立たない」と悩み続けた。

 そんな中、1人だけ相談したのが談志。昨年、入院中の談志に面会すると「やめとけ。三枝を大きくしたんだから、このまま続けろ」と猛反対されたという。

 「そうします、と言ったのに、師匠を裏切ってしまった」と三枝。この時は目に涙が光った。今月12日に「文枝襲名」が報じられると、談志から「人生成り行き。三枝より文枝の方がよくなったのか。じゃあ仕方ない。勝手にしろ。三枝のばかやろうへ」とファクスが届いたことも明かした。

 「いまは何の迷いもなく、一点の曇りもなく襲名したいと思っている」。五代目夫人からは「がんばりや」とメールが届いた。襲名披露興行は1年後の7月16日、大阪のなんばグランド花月で開幕。約2年半かけて全国を回り、米ワシントンやブラジルでの海外公演も予定している。

 ≪女性書道家による書を披露≫会見では、襲名に向けた「六代桂文枝」の書が披露された。女性書道家・紫舟(ししゅう)さんの作品。親交のあった三枝が頼んだ。弟弟子の桂きん枝(60)、桂文珍(62)とともに、額縁を手に写真撮影に臨んだ三枝は「私をイメージして書いてくれました」。紫舟さんは、昨年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」のタイトル字も担当した。

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2011年7月17日のニュース