弟の津川「めちゃ急で、びっくりした…」

[ 2011年5月22日 06:00 ]

長門裕之さんの自宅マンション前で報道陣に対応する弟の津川雅彦 

長門裕之さん死去

 「めちゃ急で、びっくりした…」

 長門さんの自宅前で報道陣に対応した津川は、まだキツネにつままれているような表情だった。

 「70歳を過ぎてグダグダ生きているより、華々しく死ぬ方がいい。ぼくはそう思っている。(兄も)華々しく死んでくれた」と話しながらも、「でも死んだとは思えないんだよな。踏ん切りが付かない」と張り裂けそうな胸の内も明かした。

 沢村国太郎、マキノ智子の俳優夫婦の間に生まれた6歳違いの兄弟。長門さんは6歳のとき「沢村アキヲ」の芸名で映画「続清水港」(40年)に出演。名子役と評判を呼んだ。兄の背中を追うように津川も5歳で映画デビュー。共に日活に在籍したときは自分の人気が先行し、兄の影が薄くなるという現象も起きた。

 そんなことから、兄弟と言うよりは“ライバル俳優”の関係が長く続いた。「好敵手で、いつも目の上のたんこぶとして君臨していた」と振り返った。2人に“雪解け”が訪れたのは、津川が「寝ずの番」で映画監督に初挑戦した06年ごろから。「物凄く喜んでくれて…ようやく寄り添える関係になりました」とじっと目を閉じた。

 長門さんは「寝ずの番」をはじめ、「次郎長三国志」(08年)、「旭山動物園物語」(09年)と監督作に出演してくれた。「70年間で、最近がもっとも仲が良かったのに…」と、撮影現場を思い出すような表情を見せた。

 報道陣から「これから寂しくなりますね」と言葉を掛けられると、大粒の涙を流した。津川は、あごから涙が垂れるのもお構いなしに、兄との思い出を語り続けた。

 ≪4月に「台本を読んでもイメージがわかない」と弱音も≫めいで津川の娘の女優真由子(37)も会見。4月に電話をした際、「台本を読んでもイメージが湧かない、と弱音を吐いていた」と涙を流した。舞台出演を終えてから駆けつけ、無言の伯父と対面した。

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