「絆の会」再び…橋幸夫呼び掛け、被災地で熱唱

[ 2011年5月19日 06:00 ]

避難所の宮城・館腰小学校を訪れ被災者を激励する橋幸夫

 橋幸夫(68)の呼びかけで集まった「絆の会」の歌手ら計6人が18日、宮城県内の避難所を慰問した。名取市など3カ所を訪れ、避難所に身を寄せる被災者らと交流。「少しでもみんなに元気になってほしい」と歌などでエールを送った。20日まで3日間、被災地を回る。その後も支援の輪を広げ、息長く継続させたい意向だ。

 参加者はジュディ・オング(61)、山本リンダ(60)、金沢明子(56)、清水アキラ(56)、ジョン健ヌッツォ(45)との計6人。東北新幹線で入った仙台市から、マイクロバスで岩沼市と名取市の3避難所を回った。

 気心の知れた仲で、出発時こそ車中で会話も交わしていたが、がれきが流れ込んだ水田の横を通ると全員が無言に。橋は「2カ月たっても、いまだにこの状態というのは想像を絶しますね」と顔を曇らせた。

 1カ所目の岩沼市民会館では約100人に迎えられた。当初は歌わないない予定だったが、橋がヒット曲「いつでも夢を」をアカペラで披露。年配の避難者は口ずさみながら手拍子を送った。家財をすべて津波で流された菊地はしめさん(76)はデビュー曲「潮来笠」(60年)以来のファン。握手を交わすと「当時は田舎だからテレビが買えなくて、友達の家に押しかけて見てた。希望にあふれていた当時を思い出し、前を向く意欲が増した」と話した。

 「絆の会」は95年の阪神大震災の時も支援活動を行っている。橋は東日本大震災からの復興の遅れや、微力な自分自身に「いらだちます」と語る。複雑な思いを毎日新聞に投書し、3月23日付「みんなの広場」で復興の先頭に立つべき国会議員に怒りをぶつけていた。
 震災発生から2カ月以上が過ぎ、やっと自分なりの支援が形となり「私たちには歌がある。小さなことかもしれないが、少しでも楽しんでもらえたなら幸い」。仲間の歌手も続いた。

 リンダは「狙いうち」を披露し「みんなの幸せを狙いうちしましょ!」と前向きに呼び掛けた。オングは大ヒット曲「魅せられて」の衣装を持参し、2カ所目に訪れた名取市民会館では早着替えで披露した。

 3カ所目は名取市立館腰小学校。会場を離れる際、マイクロバスを被災者たちが取り囲み「ありがとう!」と声を合わせた。橋は「次代を担う子供が“いつでも夢を”持てるように、義援金集めなど継続して支援をしていきたい」と話した。

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