小田和正「復興見たい」…涙で全国ツアー開始

[ 2011年5月8日 06:00 ]

約2年5カ月ぶりの全国ツアーをスタートさせた小田和正

 小田和正(63)が7日、長野市のビッグハットで、約2年5カ月ぶりの全国ツアーをスタートさせた。5大ドームを含む全国25会場48公演で67万人を動員する予定。08年4月から12月までの前回の全国ツアーの動員数53万人を上回り、自身が持つ「単独アーティストによる5大ドームを含む全国ツアー最年長記録」を更新する。東日本大震災の影響を乗り越え、10月26日の最終日まで全力疾走を続ける。

 いつになく重い幕開けだった。冒頭のMCで震災に触れ、このツアーについて「精神的にも物理的にも無理だと思った」と振り返った。

 ツアーは3月26日に静岡でスタートする予定だったが、同11日に震災が発生。予定していた宮城、岩手などの4会場7公演を中止せざるを得なくなった。一時は、震災の犠牲者の中に公演を見に来てくれる予定だった人がいる可能性もあるとの思いからツアー自体の中止も考えたという。

 小田は東北大学工学部出身で、仙台は思い出深い場所。09年7月には岩手県大船渡市の知人の招きを受け、同市民文化会館リアスホールで公演も行っている。今回の震災で、知人らは無事だったものの、各地の深刻な被害に心を痛めた。

 しかし、最終的に「みんなの街へ行き、思い切りの笑顔で手を振ろう」と決断。MCでは被災者の心情に配慮しながら「今は難しくても、いつか歌うことが役に立つときが来る。被災地を含めたみんなに喜んでもらえるように走り抜けていくことを決めた。ここに集まってくれたみんなと、その一歩を思いっきり明るく踏み出したい」と思いを明かした。

 ツアーは10月26日の横浜アリーナが最後だが、今後、被災地の状況などに配慮しながら宮城、岩手での公演も検討していくという。

 約6000人の観客を前に3時間、35曲を披露する熱演。全長計220メートルに及ぶ花道形ステージを走り回り、ヒット曲「ラブ・ストーリーは突然に」では客席に下りて、ファンとともに歌った。終盤の「hello hello」では感極まって涙ぐみ、歌えなくなる場面も。最後のMCでは「僕は日本が復興する日を見たい。長生きして、そんな日本が見たい」と切々と語っていた。

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