仙台の中学合唱部 復興シンボル曲で「嵐」と競演!

[ 2011年4月29日 06:00 ]

校内に避難した被災者を前に「あすという日が」を合唱した八軒中学吹奏楽・合唱部の生徒たち

 東日本大震災の被災地から復興への希望の歌が生まれ、注目を集めている。宮城県若林区の八軒中学校の合唱部が震災直後から避難所で歌ってきた「あすという日が」という唱歌。ゴールデンウイーク中の5月3日にはNHKの音楽特番に初出演、人気グループ「嵐」らと競演する。Jリーグ「ベガルタ仙台」のホームゲームで歌うことも決定し、復興のシンボル曲になりそうだ。

 八軒中学の「吹奏楽・合唱部」の生徒約40人が出演するのは「歌でつなごう~いまあなたに届けたい~」(午後7時30分~8時43分)と題した特別番組。嵐をはじめ、千昌夫、ファンキーモンキーベイビーズら豪華な顔ぶれに交じって初々しい歌声が響く。

 菅原敏彦校長(53)によると、既に番組スタッフが訪れ収録済み。NHKは「番組を締めくくるエンディングで放送したい」と力が入っている。

 「あすという日が」は唱歌や校歌を数多く手がける詩人の山本瓔子さんが03年に出版した「しあわせの角度」に収められた詩に、主に吹奏楽曲を手がける八木澤教司氏が曲をつけた作品。学校の卒業式などで歌われてきた。

 八軒中の吹奏楽・合唱部は全部員が楽器も歌もこなす指導方法で、いずれも全国大会出場の強豪校。避難所で初めて歌ったのは震災直後の3月19日。地震さえなければ全国大会に出ていた日で、父母から「せめて校内で発表会を」と提案があり、同中学に避難していた被災者たちに音漏れの承諾を得ようとしたところ「ぜひ私たちも聴きたい」と言われた。

 そこで、避難所の人たちへ歌を贈ることに趣旨を変更。震災直前に覚えた同曲を届けると、そこにいたほとんどの被災者が涙した。

 菅原校長は「被災者の方々の励みにと思って歌った歌がこのような広がりを見せるとは想像していなかった」と驚いており、「この歌が一歩でも前へ進もうと思う力になれば。そして日本中の皆さんが未来について考える一つのきっかけになれば」と話している。

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2011年4月29日のニュース