宝塚入学式、被災“受験生”のエールに涙…

[ 2011年4月17日 06:00 ]

宝塚音楽学校入学式で答辞を読む新入生総代、佐藤優衣さん

 宝塚歌劇団のスターを養成する兵庫県宝塚市の宝塚音楽学校で16日、第99期生の入学式が行われ、応募940人、23・5倍の難関を突破した40人が第一歩を踏み出した。入試前に東日本大震災が発生し、宮城、秋田など東北5県の計7人が受験を断念。式辞ではそのうちの1人から新入生宛てに寄せられた手紙を岩崎文夫校長が紹介した。

 「受験できなかったことは残念で悔しいが、宝塚に代わる夢を見つけ、精いっぱい勉学に励みたい。お互い夢に向かって頑張りましょう。一人一人の顔は分からないけれど、これからのご活躍をずっと応援しています」 被災地や名前は明らかにされなかったが、震災で夢に挑戦できなかった“ライバル”のエールに新入生からはすすり泣きが漏れた。

 総代の佐藤優衣さんは「お手紙のお話を聞いて涙が出ました。被災地のことを思うと胸が痛みます。舞台人として夢や希望を与えられるよう、ほかの6人の方の分も精進していきたい」と、真っ赤に泣き腫らした目で固い決意を語った。

 茨城県水戸市で被災しながら合格した横田碧さん(あおい、15)は人目をはばからず泣いた。交通が分断される中、3月20日に神奈川県川崎市で行われた1次試験にバスを乗り継ぎ駆けつけ、その後宝塚市で行われた先月26日の第2次試験、同28日の第3次試験を突破した。手紙の文面にさまざまな思いがよぎったのか、あふれる涙を抑えられず、何度もハンカチで拭った。

 プロ野球・中日の笘篠誠治外野守備走塁コーチ(46)の長女ひとみさんも入学。40人は今後、日舞やダンス、声楽などのレッスンを2年間積み宝塚入団を目指す。

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2011年4月17日のニュース