「氣志團」“ナチス衣装”に人権団体が謝罪要求

[ 2011年3月2日 06:00 ]

 ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)が1日までに、ロックバンド「氣志團」がテレビ番組に出演した際の衣装がナチス親衛隊(SS)の制服に酷似しているとして抗議した。ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の被害者らユダヤ人の感情を踏みにじるものだとして謝罪を要求している。

 センターが抗議したのは、氣志團の所属事務所「ソニー・ミュージック・アーティスツ」、所属レコード会社「エイベックス」、番組を放送した音楽専門チャンネル「MTVジャパン」の3社。

 番組は2月23日に放送された「MTVメガベクトル」。お笑いタレントのまちゃまちゃ(34)からインタビューを受けた際に、綾小路翔(年齢非公表)らメンバー6人が着ていた衣装をセンターが問題視した。おなじみの学ラン風の衣装ではなく、軍服を思わせる黒の衣装で、綾小路の左腕には赤い腕章が巻かれていた。

 センターは「日本以外の文明国家では許容されないことだ」とし、28日にメールなどで抗議文を送り謝罪を要求。今後はナチスを想起させるような衣装を着ることをやめるよう求めた。番組の収録は昨年12月中旬、氣志團の全国ツアー大阪公演の終了後に行われた。今年1月まで行われた同ツアーでこの衣装を着ていたという。

 センターはホームページに抗議文を掲載。日本に30回以上訪れているという副センター長は「第2次世界大戦中に日本が犯した人道に対する罪や、ヨーロッパのユダヤ人に対するナチス・ドイツの大量虐殺について、日本の若者が無教育であることは百も承知」とした上で、「ソニーやMTVのようなグローバル企業は分別をわきまえるべきだ」と非難。さらに「MTVにインタビューさせるため、ホロコーストの生存者を日本に連れて行く準備がある」とした。

 問題となった衣装を着た氣志團のインタビュー番組は21~24日に放送された。MTVは「決して誰かの気分を害する意図はなかった」として、28日~3月3日に予定していた再放送を中止。番組サイト上で放送を告知する写真や記事も削除した。

 ▼ソニー・ミュージック・アーティスツ 思想的な背景を有するものではありませんが、センターおよび関係者に非常にショックを与えたことを深く謝罪するとともに深く反省いたします。メンバーも同様に深い謝罪と深い反省を示しています。今回の忠告を真摯(しんし)に受け止め、指摘のあった衣装は直ちに廃棄いたします。

 ◇氣志團 千葉県木更津市の仲間を中心に1997年に結成されたヤンキー系ロックバンド。主なヒット曲は02年5月発売の「One Night Carnival」。ボーカルの綾小路翔そっくりの「DJ OZMA」は06年のNHK紅白歌合戦で、女性の乳首がリアルに描かれたボディースーツ姿のパフォーマンスを披露したが視聴者からNHKに苦情が殺到した。

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2011年3月2日のニュース