歌舞伎座にファンが別れ 扉閉じられ拍手とため息

[ 2010年4月30日 21:26 ]

 思い出の残る建物との別れと、新しい時代への期待―。30日閉場式を迎えた東京・銀座の歌舞伎座には、数々の名演を生んだ劇場の姿を記憶に刻もうとする大勢のファンが、朝から詰め掛けた。

 周辺にあふれたファンらの数は、一時300人以上に。写真を撮影しようとする人同士がもみ合う場面も見られた。
 最後の公演に当たる閉場式が終わった午後7時すぎ、歌舞伎座の山本徹支配人が「ありがとうございました」とあいさつした。玄関の扉が閉じられると「あーあ」というため息とともに大きな拍手が起きた。楽屋口には俳優を見ようとするファンの姿も。
 場内に飾られた明治期の名優、九代目市川団十郎、五代目尾上菊五郎の胸像前で記念撮影するなど、和装が目立つ客たちが思い思いに最後の時間を楽しんでいた。
 神奈川県茅ケ崎市から長男(44)と訪れた富田サチエさん(72)は「舞台上に俳優が大勢そろった姿は壮観。忘れられない光景になった」と感慨深げ。川崎市多摩区の自由業、伊田和子さん(57)は「静かで厳粛な感じがした。新しい歌舞伎座でも、このテーマパークのような雰囲気を維持してほしい」と話した。
 近所に住む赤穂チヨさん(96)は「毎日のように見ている建物がなくなり寂しい気もするが、3年後の新しい歌舞伎座も見に来たい」と話した。

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2010年4月30日のニュース