小室哲哉「globe」“懺悔ライブ”で復帰へ

[ 2009年5月12日 06:00 ]

執行猶予付きの判決を受け、神妙な表情で会見する小室哲哉被告

 著作権譲渡をめぐる5億円の詐欺罪に問われた音楽プロデューサー小室哲哉被告(50)に対し、大阪地裁は11日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。裁判長は「完ぺきに被害弁償を終えていることが特筆すべきで真摯(しんし)に反省している」と再起のチャンスを与えた。喪服姿で出廷した小室被告は「一から出直したい」と決意。妻KEIKO(36)とのユニット「globe」での“懺悔(ざんげ)ライブ”から復帰する。

 黒い背広に黒のネクタイという喪服姿での出廷。親しい関係者は「カリスマプロデューサーとして音楽界の頂点に立っていた小室哲哉は死んだということ」と思いを代弁。実刑か、執行猶予付きかが焦点だった判決を前に「どちらになっても過去の自分を葬った」との決意を込めたという。
 開廷1時間半前の午前8時すぎに裁判所に入る際、晴れ渡る青空を2度仰いだ。昨晩は「覚悟をしつつもいろいろ考えてしまい一睡もできなかった」と言い、顔は青白く目は腫れていた。
 杉田宗久裁判長は「被告人は有罪である」とだけ告げ、主文を後回しにする異例の対応。極刑の時に多いケースだけに緊張が解けず、どんどん伏し目がちになった。
 しかし、約15分後に言い渡されたのは執行猶予付きの判決。記録的メガヒットを次々と飛ばし、富と名声を欲しいままにした“90年代の寵(ちょう)児”の体はその瞬間、ブルッと震えた。裁判長から「初心に立ち返り愚直に生きて」と諭されると何度もうなずき、涙を流した。
 判決後の会見。主文が後回しになった中で「実刑だ。刑務所に入るんだと覚悟した」という。泣いたためか、うわずる声で「ファンや音楽関係者を裏切って申し訳ない。自分が情けない」と謝罪。今後について「正直、働きたい」と思いを吐露。慰謝料と遅延損害金を合わせ6億4800万円を弁済したエイベックスの松浦勝人社長と「相談しながらいい音楽を届けていきたい」と話した。
 ただ、楽曲提供者としての復帰は険しい道だ。小室被告自身も「僕の曲を歌っていただいている方には、少なからず今回の件で歌いづらかったり歌えなかったりとか、晴れ晴れしい気持ちで歌えなくなってしまったのではという意味で非常に申し訳なく、胸が痛い」と明かした。
 復帰は、アーティスト活動としての場である「globe」が確定的。関係者も「裏方である曲作りでは反省している姿が見えにくい。まずはファンに直接謝罪すべきで、懺悔のライブをすることからスタートするしかないだろう」と説明。妻のKEIKOとのユニットだけに「更生」への姿勢を夫婦で真摯に伝える意味でも最適だ。
 時期は8月。更生を全面支援するエイベックスのイベント「a―nation」。一度死んだ喪服姿は「一から」というより“ゼロから”のスタート。ファンへの裏切りは二度と許されない。

 ◆小室 哲哉(こむろ・てつや)1958年(昭33)11月27日、東京都生まれ。早大に入学も音楽活動を優先し中退。84年に「TMネットワーク」でデビュー。90年代、プロデュースしたtrfや安室奈美恵ら「小室ファミリー」と呼ばれた歌手やグループがヒット曲を連発。自ら参加したglobeを含め、95年から4年連続で日本レコード大賞を受賞した。CDの総売り上げ枚数は1億7000万枚。88年に元アイドルの大谷香奈子と結婚も92年に離婚。01年5月に歌手ASAMI(吉田麻美)と再婚し、女児をもうけるも02年3月に離婚。同年11月にglobeのKEIKOと再々婚。血液型O。

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2009年5月12日のニュース