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厳しい時代に…期待と魅力感じた鈴本の寄席定席 

 2009年正月二の席(11〜20日)の15日夜、老舗の上野・鈴本演芸場を最後まで楽しんだ。昼席は鈴々舎馬風会長がトリ。前半に一門の弟子たちが並んでいた。夜席は、さらに進んで“三遊亭金馬一門会”の色合いをはっきり打ち出した座組み。助演は前座の柳家緑君(花緑の弟子)、春風亭正朝、桃月庵白酒と、マジック・花島世津子、漫才の大瀬ゆめじ・うたじ、粋曲の柳家小菊、漫才の大空遊平・かほりの色もの勢だけ。あとはすべて金馬の直弟子か孫弟子たちが並んだのである。

 寄席定席では正月やゴールデンウィーク、夏休み時など、大事な興行の時の“トリ”は歴史的にも決まっている。だから、金馬の二の席の“夜トリ”は言わば指定席で、そこに育ってきた一門の弟子たちを出演させて、色合いを濃くしたのは、鈴本側の工夫と、出演者たちへの期待の表れでもあるだろう。

 三遊亭金兵衛(金翔と交互出演)、金也(金八と5日替わり)、金馬の息子・金時、総領弟子の小金馬、そしてトリの金馬という一門の芸の流れ。この日は出番のない金八らの弟子も楽屋に詰めていて、一門の雰囲気はいい。こうした特徴のある座組みが寄席定席では組める。そこが魅力の1つでもある。

 初席は、落語協会(馬風会長)が出演した鈴本と浅草演芸ホール、落語芸術協会(桂歌丸会長)が出演した新宿・末広亭、池袋演芸場、プロデュース制の国立演芸場と、どの寄席も満員だった。初笑いは寄席で…の伝統は生きていると思った活況ぶりだったが、例年にない寒さ、世界的に吹き荒れている不況風などの影響なのだろうか、二の席に入って、とりわけ夜席の動員が厳しさを増している。通常だと“不況に強い笑い、寄席演芸”なのだが、今年はちょっと違う。

 寒いこともあって、盛り場の賑わいさえ引け時が早いのである。おまけに比較的低料金とはいえ、財布のヒモまで固くなっているような初席景気からの一転ぶりなのには正直驚いた。今年は寄席演芸界にとっても厳しい年になるかもという気さえした。出演者の側も、出番があるから出るという形では、これからは出演すら厳しくなってくるのではないだろうか。寄席の数に比べて落語家の人数は、異様なほど多くなっているからだ。

 ちなみに、元旦現在の2大協会の落語家数は▽落語協会=真打ち・171人、二ツ目・60人、前座・21人の計252人。▽“芸協”=真打ち・79人、二ツ目・28人、前座・11人の計118人。両協会総計は370人に上る。これに三遊亭円楽一門会・41人、立川流・46人、フリー・2人を加えた総合計459人が東京の落語家総数。物故者が多いとはいえ、昨年元旦段階の455人より、やはり増えている。人数的には歴史上初めての大人数である。

 これだけの落語家が、寄席定席と円楽一門会や立川流の拠点やホール落語会で活動しているのだから、ある意味では飽和状態だし、また大企業並みの活動状況だとも言えるだろう。こうした中で、個々の落語家たちは芸を磨き続けていく。そこに、とりわけ若い世代には独自の個性や“売り”になる特色などを持っていることの重要性が掛かってくる。他の落語家にない特徴、あるいは芸の個性などが一層不可欠なものになってくるだろう。

 どの寄席定席も二の席に入って例年にない厳しい動員状況を多かれ少なかれ実感する事態になった今年、落語家たちもまたこれまで以上のファンやひいきの開拓、動員への努力をなしていかなければならない。そういう努力さえしないで、ただ出演して演じているだけでは、寄席の側からのお呼びも減ってくるだろうことを覚悟しておいた方がいい。時代は変わった……。

[ 2009年01月16日 00:13]

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