琢磨 初受賞「身が引き締まる」モータースポーツ界盛り上げる

[ 2017年12月5日 05:30 ]

インディ500の優勝トロフィーを挟み写真に納まる桐生(左)と佐藤
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 スポーツニッポンフォーラム制定「FOR ALL 2017」の表彰式が4日、東京都文京区の東京ドームホテルで開催された。グランプリは陸上男子100メートルで日本人初の9秒台となる9秒98を出した桐生祥秀(21=東洋大)、世界三大自動車レースの一つ、インディアナポリス500マイル(インディ500)で初優勝した佐藤琢磨(40=ホンダ)が受賞。それぞれ副賞として100万円が贈られた。

 1991年にヒロ松下が日本人として初挑戦してから27年目の大快挙。第101回のインディ500を初制覇した佐藤が、再び大きな栄誉を得た。「モータースポーツ界からは初受賞と聞いて身の引き締まる思い。桐生選手とともに最速という意味で2人で受賞できて大変うれしい」と喜びに浸った。

 アジア人初の偉業は、米国の慣例すら破った。表彰式に登場したのは高さ1メートル52(台座部分除く)、重さ50キロ、銀製で時価約3億円の価値があるとされる「ボルグワーナー・トロフィー」だ。1911年以降の優勝者の顔が刻まれたこのトロフィーは、これまで100年以上、一度も米国外に出たことがなかったが「わがままを言って、ぜひ(日本のファンに)見てもらいたいと言った」という佐藤の意向を受け、SP2人を引き連れ初めて海を渡った。まさに門外不出の代物に、詰めかけたゲストたちも次々にカメラを向けた。

 来年はシリーズ参戦9年目。世界3大レースの一つを制し、次の目標は年間総合優勝だ。所属はアンドレッティからレイホール・レターマン・ラニガンへ変わるが「全てのタイプのコースで安定した走りができる」と新天地への期待値は高い。年間全17戦で上位争いをできれば実現の可能性はあるだけに「挑戦を続ければ確実に夢はかなう」と言い切った。

 そしてもう一つの夢は、日本国内のモータースポーツを盛り上げること。「2020年東京五輪に向けて日本はさらに盛り上がっていくと思うが、モータースポーツの世界もそれに追いつくように頑張って盛り上げていきたい」。40歳の第一人者は、次のチェッカーフラッグへとアクセルをさらに踏み込む。

 ▼インディアナポリス500マイルレース 通称インディ500。F1のモナコGP、ル・マン24時間と並ぶ、世界3大レースの一つ。インディ500は米インディアナ州インディアナポリスのインディアナポリス・モータースピードウエーで1911年に初開催され、今年が第101回目だった。毎年5月最終月曜前日の日曜に開催され、1周2.5マイルのオーバルコース(だ円形コース)を計200周して争う。平均周回速度は約350キロで、3大レース最速。

 ▼佐藤琢磨のインディ500優勝VTR 2列目からスタートし、序盤は5番手付近を走行。65周目に初めてトップに立つなど、常に先頭集団でレースを進めた。残り10周を切って2番手から先頭に出ようとしたが、過去3度優勝の名手カストロネベスに抜かれて後退。しかし残り6周で再び2位に浮上すると、次の周の直線でカストロネベスの真後ろに付き、外から抜いて先頭に。残り周回は激しい追い上げを受けながらもしのぎきり、約0秒2差でチェッカーフラッグを受けた。

 ◆佐藤 琢磨(さとう・たくま)1977年(昭52)1月28日生まれの40歳。東京都出身。自転車競技で活躍し、97年に早大を中退してモータースポーツに転向。01年に英F3で日本人初王者となり、02年にジョーダン・ホンダでF1デビュー。BARホンダ時代の04年に米国GPで日本人最高タイの3位に入った。08年を最後にF1シートを失い、10年からインディカー・シリーズに参戦。13年の第3戦ロングビーチ(米国)で日本人初優勝を果たした。1メートル64、59キロ。

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