亜久里氏が語る“愛弟子”世界一の偉業「ラッキーじゃ勝てない」

[ 2017年5月30日 09:40 ]

インディカー・シリーズ第6戦インディ500 ( 2017年5月28日    米インディアナ州インディアナポリス )

鈴木亜久里氏(左)と佐藤琢磨
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 F1で日本人初の表彰台を獲得した鈴木亜久里氏(56)は、06〜08年に自らオーナーを務めたF1スーパーアグリでドライバーに起用した“愛弟子”佐藤琢磨(40)を絶賛。03〜07年に共同オーナーとして挑戦したインディ500に勝つ難しさを語った。

 インディ500はスピードも規模も世界一のレース。101回の歴史と伝統を誇る大会で勝てたのは本当に凄い。琢磨は日本で史上最高のドライバーだね。前人未到の偉業を成し遂げたわけだから。下積み時代から琢磨を応援し続けたお父さん(11年に亡くなった和利さん)に優勝を見てもらいたかったな、と思った。

 優勝できた理由は、最後のピットインを終えて勝負できる位置にいられたこと。大会期間の約1カ月間、つまり練習走行、予選、レースが始まってから190周以上も、全てラスト数周のための準備なんだ。決勝に出場する33人が同じことを考えているけどドライバー、車、チーム力、ピット戦略、運など全部がそろわないと最後の最後に優勝を懸けた勝負ができない。ラッキーじゃ絶対に勝てないレース。ゴルフで例えるとマスターズで優勝するくらい難しい。

 ドライバーとしての琢磨は才能だけで速く走るというより、よく考えて真面目にコツコツと努力するタイプ。F1スーパーアグリでお金がなく体制も整っていない中、与えられた環境で最高の結果を出そうと努力してくれた。ただ走るじゃなくて、マシンをより良くするためエンジニアらと協力。リーダーシップを発揮してチーム全体を引っ張った。インディでも12年にラスト1周でクラッシュした経験を含め、地道に積み上げてきたものが花開いたのだと思う。

 今回の優勝で、日本の若い選手が欧州(F1)だけじゃなく、米国にも世界一のレースがあると分かって目指すようになってほしい。琢磨はF1で表彰台(04年米国GP)を獲得して、インディ500で優勝。次はル・マン24時間に挑戦して優勝してほしいね。 (元F1ドライバー)

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2017年5月30日のニュース