可偉夢 繰り上げ3番手!琢磨抜き鈴鹿で日本人最高位
F1日本GP公式予選
(10月6日 三重・鈴鹿サーキット=1周5.807キロ)
ザウバーの小林可夢偉(26)が、母国GPで日本人最高グリッドを獲得した。最終ラウンド(Q3)で4番手だったが、3番手のジェンソン・バトン(32=マクラーレン)がギアボックス交換で5グリッド降格するため、繰り上がった。鈴鹿で日本人最高だった、04年の佐藤琢磨(35)の4番手グリッドを抜き、7日の決勝で自身初となる表彰台を狙う。レッドブルのセバスチャン・フェテル(25)が今季4度目、歴代単独3位となる34度目のPPを獲得した。
予選を終えて引き揚げてきた小林の表情が緩んでいた。ノックアウト方式(成績下位が脱落)の公式予選でQ1を2番手、Q2を6番手で通過。最終のQ3は一発アタックで会心の走りを見せ4番手につけた。バトンの降格で決勝は3番手からのスタート。小林は「この順位は想定していなかった。車のポテンシャルを100%引き出せた」と興奮気味だ。
冷静な判断が光った。Q3のタイムアタック中に前を走っていたロータスのキミ・ライコネン(32)がスプーンカーブの第14コーナーでコースアウトしてマシンをストップ。すぐに危険を回避するため減速を促す黄旗が掲示された。ステアリングに黄文字が点灯されたのを見た小林は「僕は真面目に(加速装置の)DRS(空力減少システム)もKERS(電気で加速を鋭くする装置)も使いませんでした」と明かす。実際に黄旗が掲示された区間のタイムはQ2よりも0秒1遅かった。機敏な判断でグリッド降格などの制裁を免れた。
決勝では、04年米国GPの佐藤琢磨以来となる日本人3人目の表彰台の期待がかかる。3番手の中国GPでは小林のグリッド上にだけ油が残っている不運でスタート失敗、2番手のベルギーGPはスタート直後のもらい事故に巻き込まれ涙をのんだ。その時の悪夢が脳裏をよぎるのか「決勝では無駄なことに頭を使わない。表彰台は残り1周のときに考えればいい」と慎重な姿勢は崩さない。それでもオーバーテーク(追い抜き)が難しい鈴鹿で2列目を確保。観衆の大声援を味方につけられる母国GPで、世界をあっと言わせる瞬間が近づいた。
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