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初防衛で幕開け、新「山中時代」だ!!多彩パンチで圧倒TKO

[ 2018年3月19日 05:30 ]

WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦   ○王者・山中竜也≪8回終了TKO≫同級4位モイセス・カジェロス● ( 2018年3月18日    神戸ポートピアホテル )

3回、右ストレートでカジェロス(左)の顔面をとらえる山中
Photo By スポニチ

 神戸市内でダブル世界戦が行われ、WBO世界ミニマム級王者・山中竜也がTKOで初防衛に成功した。序盤から巧みにパンチを当て続けて圧倒し、8回終了後に挑戦者陣営が棄権を申し入れた。WBA世界ライトフライ級王座決定戦に臨んだ小西伶弥は3回にダウンを奪われてから盛り返したものの、0―3の判定負けで王座獲得に失敗した。

 シャンデリアの光の下で山中のテクニックが輝いた。2回、右アッパーでカジェロスに鼻血を出させると、力任せの攻めをかわして多彩なパンチで圧倒。14年7月のIBF世界スーパーフライ級王座決定戦、テテ(南アフリカ)―帝里木下(千里馬神戸)以来、国内2例目のホテルでの世界戦は挑戦者を棄権に追い込む完勝だった。

 「今までは勝ってホッとするばかりで、うれしいと思ったことはなかったけど、うれしいですね、今回は」

 ホテル開催の初防衛戦へ強い決意を固めていた。小4で両親が離婚。経済的な事情もあり、きょうだい6人が家族で宿泊旅行をしたのは中2で訪れたナガシマスパーランド(三重県桑名市)だけだった。「ジェットコースターが嫌いだったんですけど、スチールドラゴンが凄く楽しかった」。既に弟と妹の5人と母には4月上旬の旅行を約束。費用は自身のファイトマネーからだ。父親代わりに一番下の四男・愛斗(まなと)くんの小学校の卒業式に出席した長男の責任感が、戦う原動力になっていた。

 昨年8月に世界王者となってからも庶民派だ。買い物は近所の商店街。減量に良いと聞いた馬肉はネットで安いものを探した。2月から同居している母・理恵さん(46)に毎晩マッサージしてもらうが、終わると「おっかさん、代わろう」と申し出る優しさも変わらない。長谷川穂積氏に憧れて真正ジムに入門し、今やジムの看板を背負う。「レベルアップして長谷川さんに少しでも近づきたい」。元WBCバンタム級王者の山中慎介氏が引退した今、新たな「山中時代」を築いていく。

 ◆山中 竜也(やまなか・りゅうや)1995年(平7)4月11日生まれ、大阪府堺市出身の22歳。漫画「はじめの一歩」で興味を持ち、美原西中1年で近所の男性にボクシングを習う。憧れは世界3階級制覇の長谷川穂積氏で、同氏が所属する真正ジムに中2の夏から通う。高校には進まずジムの寮に住み込み。12年6月にプロデビュー。16年11月に東洋太平洋ミニマム級王座獲得、17年8月にWBO世界同級王座獲得。身長1メートル62、右ボクサーファイター。

 ▽山中―カジェロスVTR 山中の的確な攻めが光った。左アッパーで相手の体を起こしながら、鋭く顔を射抜いた。ジャブからのワンツーも有効。足もよく動き、間合いの取り方も絶妙だった。左右と上下の多彩なコンビネーションで終始主導権を握り、8回限りで相手の戦意を奪った。カジェロスはフックを中心とした強打で応戦しようとしたが、捉えきれなかった。

 ▼長谷川穂積氏 山中は自信に満ちあふれて強いボクシングをしていた。初防衛戦のプレッシャーはあったと思うが、今日みたいなボクシングができるなら今後が楽しみ。小西は勝ったと思った。WBAでは独特の判定がある。(元世界3階級制覇王者)

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2018年3月19日のニュース