初防衛戦の王者・勅使河原弘晶 3―0の判定勝ちも「もう1発もらったら終わるという恐怖があった」
ボクシングのWBOアジア・パシフィック・バンタム級タイトルマッチ12回戦は8日、東京・後楽園ホールで行われ、初防衛戦の王者・勅使河原弘晶(27=輪島功一スポーツ)が3―0の判定で同級7位の挑戦者ジェイソン・カノイ(27=フィリピン)を破り、初防衛に成功した。昨年10月に王座を獲得した勅使河原は16勝(9KO)2敗2分け、元フィリピン王者のカノイは27勝(19KO)8敗2分け。
勅使河原は初回、ジャブで相手の出ばなをくじく好スタート。しかし、カウンターでもらった右が効いてしまい「意識がもうろうとして、1分くらい分からなかった」と立て続けに右を当てられた。2回からは相手の右を警戒して左右のフックやワンツーを当て、6回には左ボディーでカノイに顔をゆがめさせたが、右の精度が低く、過去一度もKO負けがない相手を仕留めきれない。WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(大橋)のスパーリングパートナーも務める挑戦者はボディーやアッパー、左フックの連打で猛烈に追い上げ、勅使河原も必死に応戦して終了ゴング。採点はジャッジ2者が115―113、1者が116―112で、いずれも王者を支持した。
勅使河原は「これが僕の全て。もっと行かなきゃいけなかったけど、1回のダメージがあったので、もう1発もらったら終わるという恐怖があった」と打ち明けた。前日計量後にカノイが、自身が食べていたゆで卵を差し出してきたそうで「いいヤツなので、優しさが出てしまった。ゆで卵にやられた」と苦笑い。プロボクサーを志すきっかけをつくってくれた輪島功一会長からは「勝てばいいんだじゃなく、勝負に行かないと」と苦言を呈され、「こんな試合では、このままの選手で終わっちゃう。死にものぐるいでやり直す」と成長を誓った。
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