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比嘉 地元沖縄で瞬殺V2!15戦連続KO日本記録に並ぶ

[ 2018年2月5日 05:30 ]

WBC世界フライ級タイトルマッチ12回線   ○王者・比嘉大吾 KO1回32秒 同級9位モイセス・フエンテス● ( 2018年2月4日    沖縄県立武道館 )

防衛に成功した比嘉はコーナーに駆け上がって雄叫びを上げる
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 王者・比嘉大吾(22=白井・具志堅)が152秒の電撃KOで地元凱旋試合を飾った。元2階級制覇王者モイセス・フエンテス(30=メキシコ)に、世界戦では日本人歴代7位の早さとなる1回2分32秒KO勝ちを収めて2度目の防衛に成功。連続KO勝利を15試合に伸ばし、浜田剛史らの日本記録に並んだ。減量苦でピンチを迎えながらも、師匠の具志堅用高会長(62)が81年に敗れて以来37年ぶり4度目の開催となった沖縄での世界戦で日本勢初勝利をもたらした。

 152秒の決着は偶然ではなかった。比嘉の開始2発目のジャブに合わせたフエンテスの右が、顔面に浅く当たる。勢いづいた挑戦者は前に出てきたが、この時点で相手を見切っていた。「ジャブが当たった顔の部位の色が変わった。顔はうそをつけても肌の色はうそつけない」。1分30秒、ジャブから右が当たるとフエンテスがぐらつく。残り40秒、左ボディー、アッパー、右ボディーストレートのコンビネーションでダウン。マウスピースを吐き出したのを見たレフェリーは10カウントを数え上げた。

 指笛が大歓声に変わった場内を尻目に、比嘉は冷静だった。最後のコンビネーションは「(16年7月に)東洋太平洋王座を獲った試合で倒したのと同じもの」。当時はKO勝ちと早とちりしてコーナーに駆け上がり、起きてきた相手を慌てて迎えたが、この日は10カウントを待ってコーナーへ。前日は一睡もできないほど緊張したと明かし、「1回で勝てると思ってなかった。地元のプレッシャーはあったけどうれしい」と笑顔で振り返った。

 試合2日前にピンチに陥っていた。約10キロの減量の影響で半身浴中に足がつり、王座奪取前のようなパニック障害を起こしかけた。野木丈司トレーナーがコップ2杯分の水を飲ませ、2時間も足をマッサージして回復。この時点でリミットを1・2キロオーバーしていたが、計量には何とか間に合わせた。「減量は今回が一番厳しかった。よく頑張ったと思う」と同トレーナー。過酷で豊富な練習で得た自信は調整に苦しんでも揺るがなかった。

 デビューから15試合連続KO勝利。放送席にいた同じ沖縄出身の先輩王者・浜田剛史氏の目前で、浜田氏が33年前に樹立した日本記録に並んだ。4回戦の頃、浜田氏から「遊びたい時期だろうが、引退したらいつでも遊べる」と諭され、友人との付き合いを控えてボクシングに集中。成長を促してくれた。「浜田さんの記録に並べて光栄」との言葉は恩人への感謝でもあった。

 前回に沖縄で世界戦が行われた37年前、KO負けして王座から陥落した具志堅会長の無念を晴らした。具志堅会長を含め、地元の世界戦で3戦全敗だった沖縄勢に初勝利ももたらした。次戦は夏前に指名試合を予定。「とりあえず浜田さんを超える16連続KO。16をクリアしたら20までいきたい」。沖縄産KOマシンは、さらに強さの証を求めていく。

 ◆比嘉 大吾(ひが・だいご)1995年(平7)8月9日、沖縄県浦添市生まれの22歳。中学までは野球で三塁手、投手、外野手。宮古工入学と同時にボクシングを始め国体フライ級ベスト8などアマ44戦36勝(8KO)8敗。14年6月プロデビュー。15年7月にWBCユース・フライ級王者(防衛2)、16年7月に東洋太平洋同級王者(防衛1)。17年5月、エルナンデス(メキシコ)に6回TKO勝ちでWBC同級王座獲得。身長1メートル60・1、リーチ1メートル64の右ファイター。家族は父・等さん、兄・力斗さん。

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