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RIZINが追い求める“どうすればファンが喜ぶか”

[ 2017年8月1日 11:00 ]

所英男(左)に強烈なパンチを見舞う堀口恭司
Photo By スポニチ

 7月30日に行われた格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2017 バンタム級トーナメント 1stラウンド―夏の陣―」は、目の肥えたファンだけでなく、格闘技をあまり見たことのない人々も満足させるだけの内容だった。偶発的なサミングでノーコンテストとなったギャビ・ガルシア―オクサナ・ガグロエヴァを除いた10試合のうち、一本もしくはKOでの決着が7試合。横浜アリーナで行われた4月の大会の一本&KO決着は11試合中6試合。“分かりやすい試合”の割合が増した。

 選手の実力差がある試合は一本やKOで決まることが多い。だが、今回の大会がそういうカードが多かったかというと、そうではない。各選手とも相手を倒しにいったことで、そういう結果になったと言える。RIZINの榊原信行実行委員長は大会終了後の総括で「MVPは誰か」と聞かれると「北岡悟、才賀紀左衛門、所英男、この3人は素晴らしかった。3人にエールを送りたい」と答えた。3人はいずれも敗れた選手だった。

 北岡は矢地祐介の打撃を浴びながらも最後まで倒れなかった。才賀はキックボクサーの那須川天心とのMIX特別ルールで自分が有利になるMMA(総合格闘技)ルールの2ラウンドまで引っ張ることなくキックボクシングルールの1ラウンドから勝負に出た。所英男も米UFCでの実績がある堀口恭司に真っ向から立ち向かった。「やるかやられるか」という格闘家の原点とも言える闘いに徹したことで、結果として壮絶なKO劇が生まれた。

 榊原実行委員長は「ただ勝つだけならアマチュアスポーツ」と言い切る。その考えは出場選手にも浸透している。人気急上昇中の女子選手のKINGレイナはレイディー・タパ戦で腕十字固めを決めきれずに判定勝ち。試合後は「メチャクチャむかついている。一本を取る試合をしたいと思っているので悔しい」と唇をかんだ。一夜明け会見でも「いらついている」と怒りは収まっていなかった。魅せて勝つことがプロに課せられた役目であると認識している。

 かつては大みそかのテレビを席巻した総合格闘技。冬の時代を経て、再び勢いを取り戻してきている。30日の大会の来場者数は1万7730人。PRIDE、K―1の全盛期の数字に比べればまだまだだが、「どうすればファンが喜ぶか」ということを運営も選手も理解しているRIZINは、まだまだ伸びる余地を残している。(佐藤 博之)

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2017年8月1日のニュース