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内山引退 第2のリングは「猫カフェ」!?37歳ついに決断

[ 2017年7月30日 05:30 ]

引退会見を終え“最後のファイティングポーズ”に照れ笑いの内山
Photo By スポニチ

 日本歴代3位のボクシング世界王座11連続防衛を達成した前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志(37=ワタナベ)が29日、都内で現役引退を表明した。昨年末の世界挑戦失敗後から進退を検討し、モチベーションの低下から6月には引退を決意したという。日本人初のスーパー王者認定、日本1位の世界戦10KO勝利など鮮烈な足跡を残した「KOダイナマイト」がグローブをつるした。

 引退会見も内山らしく、最後まで受け答えは誠実で、表情はすがすがしかった。まずは結論が遅れたことをわび、「だいぶ悩みながら、練習をやりながら考えたが引退という意思が固まった」と発表。「4月末ぐらいには引退しようかなと頭に入れていた。一番の理由はモチベーションの低下。6月ぐらいにはほとんど決まっていた」と明かした。

 昨年4月、コラレス(パナマ)にまさかの2回KO負けで6年以上守り続けた王座から陥落。昨年末のコラレスとの再戦でも1―2判定で敗れ、引退が取り沙汰されたが、体のことは自分が一番分かっていた。「2、3年前から反応が少しずつ鈍ったのかと感じていた。それを補うために食事や体力維持に気を使った」。だが、長年ケガに苦しめられた拳に不安を抱え、15年に遊離軟骨除去手術を受けた左肘は「やるならもう一度手術しないといけない」状態。その中で「前みたいに練習を追い込めない。100%でできない自分が試合に出るのはどうなのか」と悩み続けた。最終的には「以前のように死ぬほど努力できない人間がリングに上がるのは、ちょっと違う」と結論を導いた。

 日本のエースとして長年君臨し、史上最多13人の世界王者を抱える隆盛をボクシング界にもたらした。「実は毎試合狙っていた」という豪快なKO劇、ストイックな練習姿勢、面倒見や人当たりの良さは多くのファンを引きつけ、後輩たちの手本になった。内山本人も希望していた海外進出や他団体王者との統一戦は実現しなかったが、「心残りは言ったらきりがない。悔いはない」ときっぱり。第二の人生は未定だが、「教えてほしい選手には教えたい」とボクシングに携わることも示唆した。猫好きで知られ「のんびり猫カフェでもやろうかな。違う仕事である程度生活できればやりたい」と報道陣を笑わせて締めくくった。

 ▼八重樫東(元世界3階級制覇王者、拓大の後輩)背中を見続けてきた先輩だった。率直な感想は寂しい。我々の世代や井上尚弥のような下の世代の世界王者の中でも、兄貴のような存在だった。ボクシング界を引っ張ってくれた。

 ▼ワタナベジム渡辺均会長 ジムにとっては唯一、絶対世界が獲れると入門時に確信した選手だった。世界王者は人生の目標だった。実現してくれた内山には感謝でいっぱい。

 ▼田口良一(WBA世界ライトフライ級王者、ジムの後輩)一つの時代が終わったという寂しい気持ち。自分は泣かない方だけど、今日はラーメンを食べながら思い出したら涙が出てきた。

 ▼京口紘人(IBF世界ミニマム級王者、愛称が「ダイナマイトボーイ」)「ダイナマイト」の名を受け継いだので鎮火させたくない。

 ◆内山 高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日生まれの37歳。埼玉県春日部市出身。中学ではサッカー部で、花咲徳栄高入学後にボクシングを始める。全日本選手権3連覇などアマ通算113戦91勝(59RSC・KO)22敗。拓大、社会人を経て05年にワタナベジムからプロデビュー。07年に東洋太平洋スーパーフェザー級王座獲得(防衛5)。10年にWBA世界同級王座獲得(防衛11)。9度防衛後の15年2月にはWBAから日本人初のスーパー王者に認定された。36歳1カ月での世界王座防衛は国内最年長記録。プロ通算27戦24勝(20KO)2敗1分け。身長1メートル72の右ボクサーファイター。

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