京口 国内最速の世界王者!デビューから1年3カ月で戴冠
IBF世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦 ○同級9位・京口紘人 3―0判定 王者ホセ・アルグメド● ( 2017年7月23日 大田区総合体育館 )
デビューから1年3カ月で世界初挑戦した京口紘人(23=ワタナベ)が田中恒成(22=畑中)らの1年6カ月を抜き国内最速で世界王座を獲得。IBF世界ミニマム級王者アルグメドから9回にダウンを奪い、3―0で判定勝ち。憧れの存在である元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎(47)と同じプロ8戦目での戴冠。WBA世界ライトフライ級王者・田口良一(30=ワタナベ)は9回24秒TKO勝ちで6度目の防衛に成功。WBO世界同級王者・田中恒成との王座統一戦へ大きく前進した。
イメージしていたKO奪取ではない。アルグメドの再三のバッティングで右頬は赤く腫れ、痛めた右拳は「打撲以上」。辰吉と同じ8戦目での戴冠も「満足するなと言われそう」と気勢は上がらなかったが、9回に奪ったダウンに京口の才能が表れていた。
序盤から辰吉直伝の左ボディーを連発。下へのパンチを警戒しガードが下がっていたアルグメドにフェイントをかけてからの左ロングフック。「感触はなかった」もののロープへ吹っ飛んだ王者に右を返してひざまずかせた。大振りの相手を冷静に見極めたカウンター、左へスイッチした相手に自身もスイッチしての左ボディー。「採点は僅差だと思っていた」が、パワーでもテクニックでも世界王者を上回った。“ニューチャンピオン”のコールに「今まで感じたことのない気持ちがありました」。安どの表情で感慨に浸った。
3歳から始めた空手では小さな体が災いして全国大会に出られないレベル。「劣等感があった」。体重別のボクシングで「一番になってやる」と決意し、中1の夏から練習を始めた大阪帝拳ジムで出会ったのが、辰吉だった。「辰吉さん」と声をかけると「ジョーちゃんと呼べ」と訂正され、「チャンピオンになりたい、ではなられへん」と強い意志を持つよう諭された。中2までの2年間で重点的に教わったのが、辰吉が得意としていた左ボディーだった。
高校時代は国体で2学年下の田中恒成に完敗し、大学では拳四朗に1勝3敗だった。だが、プロ転向後に角度やタイミングを変えた打ち方を教わり、最軽量級離れしたパンチ力でKOを量産。異例の早さでの世界挑戦を実現させた。「京口の才能に懸けた」と渡辺均会長。京口は「ミニマム級なのでチャンスに恵まれた」と小さな体に感謝した。愛称はジムの先輩・内山高志の「KOダイナマイト」にちなみ「ダイナマイトボーイ」。小さくても強いニュースターが誕生した。
◆京口紘人(きょうぐち・ひろと)
▽生まれ 1993年(平5)11月27日、大阪府和泉市
▽家族 父・寛さん(49)、母・かおりさん(49)、兄・竜人(26=グリーンツダ)、姉・真琴さん(25)
▽サイズ 身長1メートル61、リーチ1メートル62
▽空手 3歳から父の道場で始める。「体が小さく、きょうだいで一番成績が悪かった」
▽ボクシング 兄の影響で中学入学前に転向。伯太高から進学した大商大では4年時に主将。国体ライトフライ級優勝などアマ通算52勝(8KO)14敗
▽プロ転向 「地元でタラタラやるより、関東へ行った方が人間的に成長できる」とワタナベジム入門
▽趣味 食べること。好物はラーメン、寿司、焼き肉、うなぎ。
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