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拳四朗、わずか10戦目で世界戴冠 父の腰に“親孝行ベルト”

[ 2017年5月21日 05:30 ]

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ   ○同級4位・拳四朗 判定 王者ガニガン・ロペス● ( 2017年5月20日    有明コロシアム )

2−0判定勝利の拳四朗は父・寺地永さんの腰にチャンピオンベルトを巻く
Photo By スポニチ

 8回まで採点でリードしていた拳四朗が最終回に選んだのは、逆転KOを狙う王者との打ち合いだった。ガードを下げ、動きを止めて、壮絶なボディー合戦。「最後は気持ちで負けたらあかん、と。倒したかったですね」と苦笑いした。だが、僅差の判定勝ちで手にしたベルトをセコンドの父・寺地永会長の腰に巻くと「最初から決めてました」と顔をくしゃくしゃにして満足した表情を浮かべた。

 わずか10戦目の世界初挑戦。サウスポーとは初対戦。「時々、悩みながら試合をした」と振り返ったが、35戦目の35歳を、正確なジャブでほんろうした。7回には右フックでピンチもあったが、8回以降はバックステップで距離を取り、流れを譲らなかった。リードはない、と覚悟を決めた最終回。「ちょっと楽しかった。やってるなー、という感じだった」とたくましさも見せた。

 東洋太平洋ライトヘビー級王者だった父の影響で中学3年で始めたボクシング。最初は高校や大学進学の“武器”でしかなかった。実績を上げて飛び込みたかったのは、競艇の世界だったという。だが、2度受験に失敗し、父の経営するジムでプロになる道を選んだ。丸太を押しながら坂道を上り、体幹を鍛え上げた。ボクシングが、人生のすべてになった。

 重量級ゆえに世界挑戦の機会に恵まれなかった父は「くすぶってたけど、これで本当に引退できる。これからは何度も防衛できるようにサポートしたい」と手放しで喜んだ。これでライトフライ級主要4団体の王者は全員日本人選手という“群雄割拠”の新時代。「もっとパワーアップして、何度でも防衛したい」という拳四朗が覇を唱えれば、親子鷹どころではない劇画の世界となる。

 ◆拳四朗(けん・しろう)本名・寺地拳四朗。1992年(平4)1月6日、京都府城陽市生まれの25歳。名前は漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウから。中3でボクシングを始める。奈良朱雀高―関大。アマ通算73戦57勝16敗。14年8月にプロデビュー。15年10月にWBCユース・ライトフライ級王者、同年12月に日本同級王者(防衛2)、16年8月に東洋太平洋同級王者(防衛1)。身長1メートル64・5、リーチ1メートル65・8の右ボクサーファイター。父・寺地永氏は元日本ミドル級、元東洋太平洋ライトヘビー級王者。

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2017年5月21日のニュース