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高校同級生対決は挑戦者・船井に軍配 3度目の正直「今思い出すと一発一発が心に染みる」

[ 2017年3月22日 22:49 ]

同級生対決を制し新王者となった船井龍一
Photo By スポニチ

 高校の同級生対決として注目されたボクシングの日本スーパーフライ級タイトルマッチ10回戦は22日、東京・後楽園ホールで行われ、同級1位の挑戦者・船井龍一(31=ワタナベ)が王者・中川健太(31=レイスポーツ)が7回2分59秒KO勝ちして新王者となった。東洋太平洋王座も含めて3度目のタイトル挑戦を実らせた船井は34戦27勝(19KO)7敗、初防衛に失敗した中川は17戦13勝(9KO)3敗1分け。

 2人は東京都立港工(現・都立六郷工科高)の同級生。中学時代からボクシングを始めた中川が船井らを誘い、ボクシング部を創設した。別々のジムで練習し、卒業後にそれぞれプロデビューしたが、中川は就職のため3戦後に一度は引退。6年間のブランクをつくった。しかし、船井の試合を観戦して復帰を決意。昨年10月に中川が日本王座を獲得し、船井がランキング1位となったことで、スパーリングなどでも手合わせしたことがなかった親友同士の対決が実現した。

 試合は中川が積極的に前へ出て武器である左を出し、船井はジャブを突きながらカウンターを狙う展開。中川は1回にバッティングにより眉間から出血し、2回には左フックをこめかみに受けてふらついた。途中から右をリードに使い左フックを狙った船井は、5回終了後の公開採点で2―1とリード。6回に入ると頭をつけて接近戦に転じ、ボディーの連打から離れ際に左フックを当てると、中川が再びぐらついた。迎えた7回、船井が右から猛攻をかけ、クリンチで逃れた中川が体を離すと、既に足元がおぼつかない状態。船井は右を叩きこんでダウンを奪い、中川のコーナーからタオルが投入された。

 3度目の正直で戴冠した船井は「ホッとした。最後のチャンスと思っていた」と振り返り、「中川とはやりたくなかったけど、非情になれたモン勝ちと思っていた。中川のパンチは今までの相手で一番あるけど、どんなパンチが来てもこらえてやるという気持ちで向かった」と打ち明けた。試合後は相手コーナーへ向かい、ひざまずいて「ありがとう」と感謝を述べ、中川からも「ありがとう」と返ってきたという。「言葉に出せない感情がそこにはあった」。ワタナベジムの渡辺均会長が「勝ってうれしいけど、残酷という気持ちも少しある」と話すと、船井も「心苦しい。試合中は思わなかったけど、今思い出すと一発一発が心に染みる。もうやりたくないです」と複雑な表情をのぞかせた。

 一方、中川は控え室でも苦しげな表情。「パンチは見えていたけど…(船井は)強かったですね。俺が弱かったです」と言葉を絞り出した。

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2017年3月22日のニュース