山中“神精度の左”相手の顎にピンポイント!V12へ更なる進化
WBC世界バンタム級タイトルマッチ 王者・山中慎介《12回戦》同級6位カルロス・カールソン ( 2017年3月2日 両国国技館 )
日本歴代単独2位となる12度目の防衛を目指すWBC世界バンタム級王者・山中慎介が23日、都内で練習を公開した。ジムの同僚を相手にした2ラウンドのスパーリングでは、ピンポイントで打ち抜く精度がアップした“神の左”を披露。狙い済ました一撃でKOし、元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高が持つ13連続防衛の日本記録に王手をかける。
スパーの相手を務めたA級ボクサー、堀池雄大が舌を巻いた。「ヘッドギアがなければヤバかった。左のジャブみたいなのが効いた。軽くやっている感じだけど、ピンポイントで急所を狙ってくるので」。減量がキツい試合1週間前でも、左を上下へ打ち分けた動きはキレキレ。山中も「素早く、いいタイミングで、当てようとしたところに当てられている。パンチが一点にまとまっていると思う」と手応えを口にし、「最後はインパクトある勝ち方、倒し方をしたい」とKO宣言した。
スパー前のシャドーボクシングでは、大和心トレーナーが構える小型ミットにバンデージを巻いた拳をぶつけた。「今回は左の精度を意識してきた」山中が、従来は素手で受け止めていた大和トレーナーに要望してミットに変更したものだ。パンチを当てる感覚をつかむため試合直前に使うミットを打つことで「精度(アップ)につながっている」という。帝拳ジムの浜田剛史代表が「左が当たれば返しの右は打つ必要がない。野球で言えば当てられない160キロがあれば変化球がいらないのと同じ」と表現する“神の左”。破壊力に加え精度が増した左ストレートを証明するように、顔とほぼ同じ大きさのミットは中心部ではなく、顎の位置にあたる下部だけが変色していた。
今回、世界戦で初めて家族から手作りのメダルとお守りをプレゼントされた。4歳の長男・豪祐君は自作のメダルに「WBC」と書いたそうで、山中は「Wが書けなくて何分もかかったらしい。映像と写真を見たら泣けてきた」と感激。「今回の相手に集中している」とV12に興味を示さなかった一方で、「頑張れるパワーをもらった。カッコいいパパで終われるように」と意気込んだ。
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