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“尚弥世代”の出世争い−−日本ミニマム級王座決定戦

[ 2017年1月24日 10:30 ]

日本ミニマム級王座決定戦で対戦する小西伶弥(左)と谷口将隆
Photo By スポニチ

 【中出健太郎の血まみれ生活】ボクシングの日本王者と指名挑戦者が対戦するシリーズ「チャンピオンカーニバル」の全カードが決まった。2月4日から5月1日まで13階級で実施されるが、38回目を迎える伝統の大会も今年はやや顔ぶれが寂しい。世界を狙うために日本ランキングから外れている「保留選手」が多い(村田諒太や内山高志らを含む22人)上に、安定感抜群だった前ライト級王者の岡田博喜(角海老宝石)が王座返上、4度防衛中のフライ級王者・粉川拓也(宮田)は負傷休養。再戦(ノンタイトル戦での対決も含む)が4試合とやや新鮮味に欠けるし、暫定を含む王座決定戦も4試合あり、「各階級の国内最強決定戦」とは言い難い。

 こんな時は若い選手の台頭に期待したいが、あいにく出場26選手中、半数の13人が30代。25歳未満の選手となると3人しかいない。その中で唯一「ホープ対決」と呼べるのが、4月に神戸で予定されている日本ミニマム級王座決定戦だろう。2月26日に熊本でWBO世界ミニマム級暫定王座決定戦に出場する福原辰弥(本田フィットネス)が返上した王座を、ともに23歳の同級1位・小西伶弥(真正)と2位・谷口将隆(ワタナベ)が争う。14年度全日本ミニマム級新人王の小西は12戦全勝(5KO)、昨年4月のプロデビューからわずか1年でタイトル戦に臨むサウスポーの谷口は6戦全勝(4KO)だから、無敗対決になる。

 タイトル初挑戦の2人は同学年で、ともに神戸市出身。小西はチャンピオンカーニバルで福原への挑戦が予定されていたため「王座決定戦は予想していなかった」と明かしたが、「どんな相手でも絶対に勝つ」と共通点の多い谷口に闘志を燃やす。一方、昨年10月のプロ5戦目でフィリピン人の世界ランカーを2−1の判定で破る金星を挙げ、IBFミニマム級9位にランクしている谷口は「最終目標は世界なんで」と、日本王座を通過点と捉えている。世界戦が実現しやすい階級だけに、勝者が一歩リードするのは間違いない。

 谷口には同僚にも同い年、同じ関西出身、同じ階級のライバルがいる。同時期にワタナベジムへ入門し、同じ昨年4月デビューの日本ミニマム級4位の京口紘人だ。アマチュア時代は谷口が龍谷大、京口が大商大で主将を務めてしのぎを削り、直接対決では京口が4勝2敗で上回ったという。その京口は5戦全勝5KO。東洋太平洋ミニマム級では1位で、現在空位の王座を懸けて今後、決定戦に臨む予定だ。

 「あいつ(京口)の方が先にチャンスが回ってくると思っていた。2人ともチャンピオンになれればいい」。同学年に好選手がそろうと「○○世代」と呼ばれるが、内にも外にも刺激を受ける存在がいれば自身の成長度は分かりやすい。「プロになってから筋肉がついて、スピードで打っていたミット打ちもパワーで連打を打てるようになった。KO?意識しています。プロだからお客さんを喜ばせないと」。話す顔がまぶしく、弾む声が耳に心地よい。同学年に井上尚弥もいる世代。若さをガチでぶつけ合うタイトルマッチが、新しい波を呼ぶ。(専門委員)





 ◆中出 健太郎(なかで・けんたろう) 誕生日はキングカズと1週間違い。スポニチ入社後はラグビー、サッカー、ボクシング、陸上などを担当。好きな選手はセルジュ・ブランコ、ナジーム・ハメド、大谷翔平。15年ラグビーW杯で日本代表が南アフリカを破り、ジャパンの勝利を願って03年W杯以降伸ばしていたひげを剃ったが、妻が気づいたのは1年以上経過した昨年末だった。

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2017年1月24日のニュース