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村田 元米国王者を破壊、強烈KО 12戦全勝さあ世界戦!

[ 2016年12月31日 05:30 ]

73・4キロ級契約ノンタイトル戦   ○WBO世界ミドル級3位・村田諒太 3回2分53秒KО ブルーノ・サンドバル● ( 2016年12月30日    有明コロシアム )

3回、サンドバルをKOし喜ぶ村田
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 12年ロンドン五輪ミドル級金メダリストでWBO世界同級3位の村田諒太(30=帝拳)が元WBC米国同級王者ブルーノ・サンドバル(25=メキシコ)と10回戦を行い、右ストレート一発で3回KO勝ちした。WBO世界同級王者ビリー・ジョー・サンダース(27=英国)に照準を合わせた“世界前哨戦”を自身最多に並ぶ4連続KO勝ちで飾った。早ければ来年3月にも待望の世界挑戦が実現する。

 村田には分かっていた。目の前の男がもう立ち上がれないということを。3回、残り45秒。ジャブの相打ちで隙ができたサンドバルの左頬に右ストレートを食い込ませた。ロープを背にして、よろめく相手にダメ押しの右フック。元米国王者はキャンバスに沈んだように見えたが「スリップ」と宣告された。「拳の感触はあった」と村田は右腕を上げて「ダウン!」とアピール。言葉通り、ダメージを負った相手は10カウントで起き上がれなかった。セコンドから「距離が近い」と指摘され、半歩下がって打った右は相手を気絶寸前まで追い込む破壊力だった。

 当初は興行に村田の名前はなかったが、世界初挑戦の予定だった井上尚弥の弟・拓真が11月9日に負傷し、キャンセルとなった。穴埋め役を買って出たものの、5試合ぶりの国内戦。国内では期待の裏返しかヤジも飛ぶ上、今回は世界前哨戦とあって「最低限、勝たなきゃいけない気持ちがあった」と硬さもあったが、4連続KO勝利で結果を出し「また判定やったらボロクソ言われると思ったんで」と笑った。

 世界戦は秒読み段階に入った。標的はWBO王者サンダース。WBOはスーパーウエルター級王者アルバレスに対し、サンダースへの指名挑戦権を与えたが、人気者のアルバレスも5月に元WBCミドル級王者チャベスJrとのビッグマッチを計画中だ。帝拳ジムの本田会長はサンダース戦の実現は、アルバレス―チャベスJr戦の成立次第と説明し「1月には分かるでしょ」。国内の会場を来年3月に押さえてはいるものの「日本と英国と両方での条件を提示している」と敵地戦を覚悟の上で交渉を進めている。

 この日の会場・有明コロシアムは13年8月のデビュー戦と同じリング。「一歩一歩やってきて、やっと射程距離に来た。やっぱり世界王者になりたい」と実感を込めた。セコンドの助言を聞き入れ距離を修正する「器用さ」を身につけ「振ってくる右も見えた」と試合での「冷静さ」も備えた。KO負けのない相手を一撃で沈め「今日の相手が一番強かった。それを倒せたことが自信になる」。手に残る感触とともに、いよいよ村田が夢のリングに立つ。

 ▼浜田剛史氏 世界挑戦に向けてGOが出せる試合内容といっていい。相手は足を使い、打ってくる選手だが、村田の重圧と上下への攻撃の組み立てで動けなくなっていた。ダウンさせたパンチにしてもパワーを感じさせた。世界前哨戦として合格点、90点をつけたい。

 ◆村田 諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日、奈良市生まれの30歳。南京都高―東洋大。高2で高校3冠を達成するなどアマ通算138戦119勝(89KO・RSC)19敗。11年世界選手権ミドル級で銀メダルを獲得し、12年ロンドン五輪では日本勢48年ぶりとなる金メダルを獲得した。13年8月プロデビュー。これまで米ラスベガスで2試合、中国で3試合行った。身長1メートル82の右ボクサーファイター。

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