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浜田剛史氏から見た長谷川 “本物”を見せ続けることでファン獲得

[ 2016年12月10日 05:30 ]

長谷川穂積引退発表 ( 2016年12月9日 )

苦楽をともにした山下会長(左)から花束を受け取り、握手を交わす長谷川
Photo By スポニチ

 長谷川を初めて見たのは東洋太平洋王者の頃だった。当時はセンスで戦っていた選手で、自分がやりたいスタイル、いわゆる負けないボクシングで世界王者にもなった。だが、(07年5月の)ベチェカ戦で「負けなければいいのか」という見方をされたことで、お客さんやテレビの視聴者を納得させるような、KOを狙っていく戦い方に変わった。

 強打者ではないが、スピードとタイミングを生かし、一瞬の隙を見逃さなかった。相手の呼吸を探り、息を吐こうとした瞬間に打つなど動きを先読みしていた。当時はボクシングも格闘技も話題先行型で、試合そのものよりも選手のコメントが大きく取り上げられる時代だったが、試合の面白さや競技の奥深さ、いわば「本物」を見せ続けることでファンを獲得してきたのが長谷川だった。

 2階級上げてからはパワーを過剰に出そうとして苦しんでいたように思う。長く苦労したが、自分の全てを出し切っての3階級制覇は、若い選手や壁にぶつかっている選手、ベテランの励みになったはずだ。もし5階級制覇のドネア(フィリピン)が世界王者のままならば、あと1試合戦っていたかもしれないが、11月に陥落したことで「やることは全てやった」と引退を決めたのではないか。 (元WBC世界スーパーライト級王者)

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