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村田諒太ついに「世界前哨戦」年末興業に緊急参戦!

[ 2016年12月3日 09:55 ]

田中トレーナー(左)の持つミットにパンチを叩き込む村田
Photo By スポニチ

 ボクシングの12年ロンドン五輪ミドル級金メダリストで、WBO同級3位にランクされる村田諒太(30=帝拳)が年末興業に緊急参戦した。12月30日に東京・有明コロシアムで行われる大橋ジムの興業で、WBC地域王者の経験を持つブルーノ・サンドバル(25=メキシコ)と対戦する。発表されたのは12月1日。海外では珍しくないが、日本国内の大きな興業で1カ月前にカードが決まるのは、最近ではあまり例がない。

 大橋ジムは当初、有明でトリプル世界戦を計画していた。WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(23=大橋)と前WBA世界同級王者・河野公平(36=ワタナベ)の日本人対決をメインに、井上尚の弟・拓真(20=同)の世界初挑戦、IBF世界ライトフライ級王者・八重樫東(33=同)の防衛戦というカードだった。ところが、井上拓が右拳を負傷して11月12日に挑戦中止を発表。その1つ空いた「枠」に、村田が入る形となった。

 井上拓のケガを聞いた村田は当初、帝拳ジムの本田明彦会長に「やってみたいです」と冗談交じりで申し出た。興業を中継するのが、自身の試合を放送してきたフジテレビとあっての“立候補”だったが、「頭に入れておくよ」と返した本田会長が相手を決めて試合を成立させた。もともと村田は来年2月に試合の可能性があると聞いていたそうで、最後にリングに上がった今年7月からの間隔を考慮すると「ここで1試合挟みたかった」と言う。興業と村田、双方にプラスとなる緊急参戦で、村田も注目の集まる年末興業に「少しでも僕が貢献できれば」と話した。

 冗談が本当の話になっても、村田は「練習はずっと続けていた。いつでも試合はできるという気持ちだった」と受け止めていた。世界初挑戦の機会を狙い続け、待たされている身としてはノンタイトル戦決定など驚くことではない。実際に、今年は世界戦の話も来ていた。「99・9%決まり」と言われた試合が流れたこともあったという。世界のミドル級戦線はWBAスーパー王者、WBC&IBF正規王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の動向次第で状況が変わり、村田の標的であるビリー・ジョー・サンダース(英国)の動きも不透明。また、ライト級のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)らロンドン五輪のメダリストたちは次々と世界王者になっている。それでも世界的プロモーターの本田会長ら自身が絶大なサポートを受けていることに感謝し、「この環境で(世界戦の)機会が巡ってこなければ来ないので、焦った状況はない」と達観している。

 八重樫の挑戦者も12月2日に無事決まり、30日は「ダブル世界戦+村田」の豪華な顔ぶれとなった。ロンドン五輪バンタム級銅メダリストの清水聡(30=帝拳)もプロ2戦目に臨むため、プロで初めて村田との共演が実現する。その村田のプロ12戦目は、ついに「世界前哨戦」と銘打たれた。約1年8か月ぶりの国内での試合が、戴冠前のラストマッチとなるかもしれない。(中出 健太郎)

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2016年12月3日のニュース