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長谷川一家歓喜 娘との約束守った パパはやっぱり「世界一」

[ 2016年9月17日 08:05 ]

<ルイス・長谷川>長谷川はTKO勝ちし山下会長に肩車される

WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ ○同級5位・長谷川穂積 9回TKO 王者ウーゴ・ルイス●

(9月16日 エディオンアリーナ大阪)
 パパは偉大だった。大歓声に誘われるように泰子夫人(37)の目から涙があふれた。「こんな姿をもう見ることができないと思っていたので、うれしい気持ちでいっぱいです」。王者の肩書があったのは5年5カ月も前のこと。アゴのもろさを露呈したこの斜陽の月日、グローブを置いてほしいと願ったこともあった。だが、「本人の“大丈夫”を信じて、やると決めたらサポートすると決めました」とボクサーの妻でありつづけた。

 2人の子供はリング上からの景色をまぶたに焼き付けた。10歳の長女・穂乃(ほの)ちゃんは「たくさんの人がいてきれいかった」と父の仕事場に感激。物心がついてからは父の負ける姿だけが印象に残った。偉大な戦績を知ったのは最近のことだという。試合の2日前、父とベッドで一緒に寝た。「リングに上がらせてくれるとずっと言っていた」。約束を果たした父を「世界一」と称えた。

 父より大きくなった長男・大翔(ひろと)くん(13)はチャンピオンの父を抱きかかえて誇らしげ。「減量でいつもより軽かったけどうれしかった」。世界戦までの間、自宅でゆっくりしたい父の前で妹とケンカしたことを後悔し、「もうちょっと力になれた」と振り返った。5年を超える年月で子供たちも成長していた。

 リングサイドで見守った父・大二郎さん(61)は「こんなにうれしいのは世界を初めて獲った時以来。いや、3回目か。(2階級制覇した)2回目もうれしかった。お母さんが死んだ後だったから」と手放しで喜んだ。苦難の時を経て、長谷川家に上った3度目の太陽。一家の笑顔もまぶしく輝いていた。

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