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尚弥10回KOでV3も…ロマゴン戦実現へ反省「練習するのみ」

[ 2016年9月5日 05:30 ]

10回、ペッチバンボーン(左)に右フックを見舞う井上尚弥

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦 ○王者・井上尚弥 KO10回3分3秒 挑戦者ペッチバンボーン・ゴーキャットジム●

(9月4日 神奈川・スカイアリーナ座間)
 王者・井上尚弥(23=大橋)が3度目の防衛に成功した。同級1位ペッチバンボーン・ゴーキャットジム(31=タイ)のタフさに苦しんだものの、10回3分3秒KO勝ち。昨年大みそか以来、2試合ぶりのKO勝ちでプロデビューから11連勝(9KO)とした。来年にも計画する3階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア、帝拳)とのビッグマッチ実現へアピールした。

 タフな相手にてこずった。井上尚は序盤から鋭いジャブで挑戦者を突き起こし、鋭いボディーやワンツーを再三突き刺した。だが、ペッチバンボーンもボディー、アッパーでしぶとく反撃。王者が強烈な右ストレートやダブルのフックを見舞っても動じなかった。しかし10回、激しい打ち合いに挑んで相手をフラフラにさせると、最後は右ダブルで倒してカウントアウト。やっと仕留めた。

 「家に帰ったら(父・真吾トレーナーに)お説教ですね。リングにも上がってきてもらえない。これが僕の実力です。すいませんでした」

 5月のV2戦は試合序盤に右拳を痛め、「指示の出しようがない状態」(真吾トレーナー)ながら最終回にダウンを奪う大差判定勝ち。6月末からV3戦へ向けたスパーリングを始めたが、昨年には手術も経験した拳の負傷再発を防ぐため「できるところからやりたい」とバンデージの巻き方から変えた。専門家に相談してナックル部分を厚くし、拳とグローブの間に隙間ができないように改善。力任せにパンチを振るわず、スパーから7、8割の力で打つことにも気を払った。前回逃したKOにこだわりながらも「流れの中で倒せれば。拳と相談しながらやることが最優先」と大人の考えに変化した。

 練習ではディフェンスにも意識を割いた。自身より2階級上のスーパーバンタム級世界ランカーをパートナーに招へい。「7、8割のパンチ」の有効度を試すとともに、パワフルなパンチをもらわないように打ったあとのガードやステップに細心の注意を払った。

 「相手への対策もあるけど、ステップなどはこの先へ、身についてくるものなので」。今後は先月31日に河野公平(ワタナベ)からWBA世界スーパーフライ級王座を奪ったルイス・コンセプシオン(パナマ)との統一戦、来年には3階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア、帝拳)とのビッグマッチも計画する。強豪との対戦を視野に入れた強化方法で臨んだV3戦。「こんなんじゃビッグマッチなんて言ってられない。どんどん練習するのみ」。苦戦を糧にするしかない。

 ◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川県座間市生まれの23歳。アマボクサーだった父・真吾氏の指導で6歳から競技を始める。新磯高(現相模原青陵高)時代にインターハイや全日本選手権などアマ7冠。12年10月にプロデビュー。13年8月に国内最短タイのプロ4戦目で日本ライトフライ級王座、同年12月に東洋太平洋同級王座を獲得。14年4月に日本人最速(当時)の6戦目でWBC世界同級王者。同年12月WBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、世界最速(当時)の8戦目で2階級制覇。身長1メートル63・7、リーチ1メートル73・0の右ボクサーファイター。

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