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田口 初メインで日本人対決制しV4!年末に内山とW世界戦だ

[ 2016年9月1日 05:30 ]

<WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ>12R、宮崎(左)にパンチを浴びせる田口

WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦 ○王者・田口良一 判定3―0 同級1位・宮崎亮●

(8月31日 大田区総合体育館)
 WBA世界ライトフライ級王者・田口良一(29=ワタナベ)がワタナベジム唯一の世界王座を死守した。WBA世界スーパーフライ級王者・河野が判定負けした後にランキング1位・宮崎との指名試合に臨み、最大10点差をつける大差の3―0判定勝ち。KOは逃したものの安定した試合運びで4度目の防衛に成功し、前WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(36)不在の興行のメインを締めくくった。

 勝利が告げられると、田口は放送席の内山に報告した。「何とか勝てました」。4月の内山に続き、この日は河野が4度目の防衛に失敗し王座陥落。「負けたと聞いて自分もヤバいと思ってしまった」。それでも石原雄太トレーナーから「関係ないから」と言われて気持ちを切り替え、自身初の世界戦メインイベンターでベルトを死守した。

 完勝だった。宮崎と11・3センチもの差がある長いリーチに加え、対戦決定時からキーポイントに挙げていたジャブを序盤から有効に使い、相手を寄せ付けなかった。「ジャブにカウンターを合わせられないよう、フェイントしながらやった。相手も出てこられなかったのでよかった」。スロースターターの田口が珍しく序盤から主導権を握り、途中では「気持ちで負けてないとアピールするため」ノーガードで挑発してみたり、「調子のいい時に出る」(石原トレーナー)右拳をグルグル回すポーズでも圧倒。試合前に再三挑発してきた宮崎は判定が出る前から田口に歩み寄り、「すいません」と謝ってきた。

 前戦までとは違うテクニシャンぶりに加え、大人の試合運びでも成長を証明した。終盤は「カウンターをもらわないように、まず勝つことを優先した。自分が負けたらジムの世界王者がゼロになる」とKO狙いを封印。50分走を100分走に変えるなど走り込みを増やして築いたスタミナも、集中力も最終ラウンドまで切れなかった。

 内山には入門時から可愛がられ、コンディション調整などでアドバイスを受けてきた。内山陥落後の6月には一緒に宮古島へ旅行し、合間を見てランニングする先輩の姿に感銘を受けた。ジムでただ一人となった世界王者は「内山さんが帰ってくると思うので自分が引っ張るというのは…」と謙遜したが、内山は「胸が熱くなった。メインらしい顔つきをしていたし試合も堂々としていた」と合格点。再起に意欲的な大黒柱と頼もしい後継者で、年末にダブル世界戦が組まれそうだ。

 ◆田口 良一(たぐち・りょういち)1986年(昭61)12月1日、東京都大田区生まれの29歳。芝商卒。06年7月、1回TKO勝ちでプロデビュー。07年12月、全日本ライトフライ級新人王。13年4月、知念勇樹(琉球)との王座決定戦に判定勝ちして日本同級王座を獲得。同年8月、初防衛戦で井上尚弥(大橋)に判定負けして陥落。14年12月、ロセル(ペルー)に判定勝ちしてWBA世界同級王座を獲得した。身長1メートル67・7、リーチ1メートル72・5の右ボクサーファイター。

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