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ムハマド・アリ氏が死去 ローマ五輪で金、徴兵拒否、猪木氏と異種格闘技戦

[ 2016年6月4日 13:51 ]

現役時代のムハマド・アリ氏 (AP)

 ボクシングの元ヘビー級世界王者のムハマド・アリ氏が3日、呼吸器系の病気で米アリゾナ州フェニックスの病院に死去した。74歳だった。家族に近い関係者が明らかにした。

 アリ氏は1942年1月17日、米ケンタッキー州ルイビル生まれ。12差の時父に買ってもらったばかりの自転車を盗まれ“盗っ人をとっちめるには強くならなくては”と白人警官に諭され、その警官が教えていたことからボクシングに興味を持ちキャリアをスタートさせた。

 60年のローマ五輪ライトヘビー級で金メダルを獲得、帰国後高級レストラン入店を人種差別で拒否され、金メダルは川へ投げ捨てたという。64年には当時無敵を誇ったソニー・リストンを7回TKOで下して世界、ヘビー級王座を獲得、その後9回防衛を果たした。ベトナム戦争への抗議の意味で徴兵拒否し王座をはく奪されたが、3年以上のブランクを経て復帰、74年にジョージ・フォアマンを逆転KOで下す「キンシャサの奇跡」により王座返り咲きを果たした。

 76年にはアントニオ猪木(現参院議員)との異種格闘技戦を東京で行い、15回引き分けに終わった。

 81年に引退。90年には湾岸危機の際し、イラクのフセイン大統領(当時)と直接会い米国人人質の解放に成功、96年のアトランタ五輪では、パーキンソン病を患った不自由な体で聖火の最終点火者を務めた。

 私生活では4度結婚し、1人の養子を含めて子どもは9人、3度目の妻との間の娘レイラは女子ボクサーとして世界王者に就いた。

 2014年、15年にも尿路感染症のため入院。最近では、米大統領選の共和党指名を確実にしたドナルド・トランプ氏が昨年末にイスラム教徒の入国禁止を唱えた際に、暗に批判する声明を出した。

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2016年6月4日のニュース