×

尚弥、来年米進出GOサイン 大橋会長「やらない手はない」

[ 2016年5月10日 05:30 ]

激闘から一夜、拳が腫れた井上(左)を八重樫が称える

 ボクシングのダブル世界戦で防衛に成功したWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(23=大橋)とIBF世界ライトフライ級王者・八重樫東(33=同)が9日、横浜市内で一夜明け会見を開いた。両拳を痛めながら大差の3―0判定で2度目の防衛を果たした井上尚について、大橋秀行会長(51)は今後の海外進出を明言。期待されるWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレス(28=ニカラグア)との対戦実現は来年までとリミットを設定した。

 横浜から“開国宣言”だ。前日(8日)の防衛戦で2回に右拳を痛めながら左1本で試合をコントロールし、さらに左拳も痛めた状態で最終回にカルモナ(メキシコ)をダウンさせた井上尚はリング上で「海外進出していろいろな経験を積みたい」と希望。大橋会長は一夜明けて「見せ場をつくろうとする責任感に感動した。まだ10戦なのにプロ根性の塊」と称え「これで鎖国してたら笑われちゃう。やらない手はない」と海外進出へ改めてゴーサインを出した。

 次戦は前王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)との再戦が濃厚だが、井上尚はかねて45戦全勝の3階級制覇王者ゴンサレスとの対戦を熱望している。帝拳ジムと契約する“ロマゴン”とは八重樫が14年9月に国内で対戦。しかし、井上尚は海外でも高い評価を受けており、ビッグマッチの舞台には米国がふさわしいというわけだ。

 実現させるなら来年しかない。成長途中の井上尚はスーパーフライ級でも減量がきつく、大橋会長もこの日、「長期防衛は無理」と再来年にはバンタム級かスーパーバンタム級に上げて3階級制覇を狙わせる方針を示した。ゴンサレスは今年いっぱいはフライ級にとどまる意向を示しており、同会長は「ロマゴン(が階級を上げるの)を待てるのは来年まで」と開催時期を限定した。

 井上尚は一夜明け会見で「倒しきりたかった」と試合を振り返り「無駄なパンチをもらってしまった。今後は外すように強化したい」と防御の見直しを課題に挙げた。両拳は赤く腫れていたが「これは打撲。1カ月もすれば痛みも取れて練習を再開できると思う」と軽症を強調。大橋会長も「拳に問題がなければ9月ぐらい」と次戦の見通しを語った。海外進出とロマゴン戦実現には、順調な回復が必要であることは言うまでもない。

 ◆ローマン・ゴンサレス 1987年6月17日、ニカラグア・マナグア生まれの28歳。10歳でボクシングを始め、アマ87戦全勝、プロ45戦全勝(38KO)。05年7月にプロデビューし、07年に帝拳ジムとプロモート契約を結ぶ。08年9月、新井田豊に4回TKO勝ちでWBAミニマム級王者。10年10月、WBA世界ライトフライ級暫定王座獲得(後に正規王座に認定)。14年9月、八重樫東に9回TKO勝ちしてWBC世界フライ級王座を奪い、3階級制覇。身長1メートル60、リーチ1メートル63の右ボクサーファイター。

続きを表示

この記事のフォト

2016年5月10日のニュース