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八重樫 被弾覚悟で打ち合い初防衛!激闘で内山先輩にエール

[ 2016年5月9日 05:30 ]

10回、テクアペトラ(左)と打ち合う八重樫

IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ ○王者・八重樫東 判定2―1 同級11位マルティン・テクアペトラ●

(5月8日 有明コロシアム)
 IBF世界ライトフライ級王者・八重樫東(33=大橋)は2―1の判定で挑戦者マルティン・テクアペトラ(26=メキシコ)を下し、初防衛に成功した。

 試合後の両者の顔は対照的だった。傷ひとつないきれいな顔の挑戦者と両目を大きく腫らした王者。だが、勝ったのは王者だった。激しく打ち合った末に、2―1の僅差の判定で初防衛に成功した八重樫は「やっぱり激闘になりましたね」と苦笑いした。

 序盤で計算が狂った。前に出てくる相手をさばくつもりだったが、動きが重く、不用意にパンチをもらった。ずるずると相手ペースに巻き込まれた。「何もできなくて、仕方がないから打ち合うしかなかった」。被弾覚悟で足を止め、得意の打ち合いに持ち込んだ。左ボディーを利かせると、リズムを取り戻した。終盤2回は粘る相手を「つぶしてやろう」とさらに距離を詰めた。壮絶なパンチの交換を繰り返し、終了のゴングを聞いた王者は「(結果は)分からなかった。力不足です。収穫は生き残ったこと」と反省ばかりが口をついた。

 昨年末、2度目の挑戦で日本人3人目の3階級制覇に成功して迎えた初防衛戦。大事にしたのは心構えだった。大きな目標をクリアしたばかりで、相手はランク11位の格下となれば、心に隙は生まれやすい。軽量級最強と呼ばれるゴンサレス(ニカラグア)に敗れた直後の世界戦で油断して連敗した苦い過去もある。さらに先月27日は拓大の3年先輩の内山高志がまさかの2回KO負けで王座から陥落。「ボクシングは怖い。何があるか分からないのがボクシング」。試合前は家族と離れ、ジム近くに泊まり込むが、今回はオフの週末にも帰らず、より強い気持ちをつくって準備した。

 内容は満足いくものではなかったが、結果は残した。「先輩がどう思うか分からないけれど、僕はいてくれた方がうれしい。自分は続けていけることになったので、何かあるのかな」。進退を保留している内山に、八重樫なりのメッセージは送った。

 ◆八重樫 東(やえがし・あきら)1983年(昭58)2月25日、岩手県北上市生まれの33歳。黒沢尻工でボクシングを始め、拓大を経て05年3月プロデビュー。06年4月にプロ5戦目で東洋太平洋ミニマム級王座、09年6月に日本同級王座を獲得。11年10月、2度目の世界挑戦でWBA世界同級王座獲得。WBC同級王者・井岡一翔(井岡)との統一戦に敗れて陥落後、13年4月にWBC世界フライ級王座を獲得。14年9月、ゴンサレス(ニカラグア)に敗れて陥落も、15年12月にIBF世界ライトフライ級王座を獲得して日本人3人目の3階級制覇。身長1メートル60.8、リーチ1メートル65.0の右ボクサーファイター。

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2016年5月9日のニュース