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三浦隆司 逆転負けでV5ならず…リベンジマッチに意欲

[ 2015年11月23日 05:30 ]

9回にダウンし、5度目の防衛戦で王座陥落した三浦(AP)

WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦 ●王者・三浦隆司 9回1分31秒TKO 同級1位フランシスコ・バルガス○

(11月21日 米ネバダ州ラスベガス)
 王者・三浦隆司(31=帝拳)が逆転負けで5度目の防衛に失敗した。本場ラスベガスで、両者ダウンを奪い合う激しい打ち合いを展開。序盤の劣勢を強打ではね返し8回まで採点をリードしたが、最強挑戦者の逆襲を食らい9回にダウンを喫し力尽きた。王座陥落の31歳が再戦を熱望する中、戦いぶりを認めた統括団体WBC、中継局HBO、主催のゴールデンボーイ・プロモーションはリベンジマッチの実現に意欲を示した。

 崖っ縁まで追い詰めた三浦に落とし穴が待っていた。初回にダウン寸前まで追い込まれたものの、4回に“ボンバーレフト”で尻もちをつかせて逆転。8回にも左で畳み掛けた。右目下を長さ約5センチの三日月形に切ったバルガスは9回開始前、医師から「(傷口が広がれば)この回が最後」と宣告された。帝拳ジムの本田明彦会長は「次、出てくるから気をつけろ」と指示したが「気持ちが前に行き過ぎた」という隙に悪夢は起きた。

 9回。ジャブで距離を取る選択もある中、KOにこだわる王者は前に出た。だが、覚悟を決めた相手の気迫に押され、右ストレートで腰を落とされ、連打でダウン。ふらつきながら立ち上がり、続行後はクリンチで逃れようとしたが力尽きた。最後は右ストレートでのけぞりレフェリーがストップすると、驚きの大逆転劇にファンのボルテージは最高潮に達した。会場の興奮冷めやらぬリング上で、それでも三浦は「再戦したい」とつぶやいた。

 好ファイトを見せた選手を見捨てないのが夢舞台。両者の激闘は観客だけでなく、関係者の目にも留まった。WBCのスライマン会長は日本の報道陣に「三浦は最高の心を持っている。これぞボクシング」と絶賛。本田会長によると、日本人を初めてペイ・パー・ビューの対象に起用した米ケーブルテレビ局HBO関係者も、リング上で再戦に興味を示したという。

 世界戦4戦連続でメキシコ選手を沈めて「アサシン(暗殺者)」として名を上げて迎えたメキシコのスター候補との対決は、1万1274人が会場を埋める大規模興行のセミファイナルに抜てきされた。歴史的勝負で敗れはしたが、再び米国で試合ができる可能性をつかんだ。負けながら相手を病院送りにした三浦は少し腫れた顔で「(再戦の)チャンスを頂けるなら、また王者になるために頑張りたい」と言い、拳を握りしめた。

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2015年11月23日のニュース