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内山V9!9回ダイナマイト連打で挑戦者“戦意喪失”TKO

[ 2015年1月1日 05:30 ]

9R、ガードのすき間から入ってくる内山の左ジャブに何も出来ない挑戦者

WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦 ○王者・内山高志 9回終了TKO 同級8位・イスラエル・ペレス●

(12月31日 大田区総合体育館)
 東京と大阪で世界戦5試合が行われ、WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチでは王者の内山高志(35=ワタナベ)が挑戦者のイスラエル・ペレス(35=アルゼンチン)を9回終了TKOで下し、9度目の防衛に成功した。35歳51日での防衛は日本人世界王者では西岡利晃(35歳68日)に次ぐ年長防衛。IBF・WBO世界ミニマム級王座決定戦では高山勝成(31=仲里)が7回TKO勝利でミニマム級では世界初の主要4団体制覇を果たした。WBA・WBOのスーパーバンタム級統一王者ギジェルモ・リゴンドー(34=キューバ)に挑んだ天笠尚(29=山上)は無敗王者からダウンを奪ったが、11回終了TKOで敗れた。

 迷いなく右拳を振り抜いた。9回。内山は左ボディーアッパーから右ストレートを次々と交互に繰り出した。相手をロープ際に追い詰めて、さらにガードの上から右ストレートを叩き込んだ。何とか終了のゴングまで連打に耐えたペレスだったが、10回が始まる直前、自ら棄権を申し出た。

 「中盤までは厳しかったけれど後半に倒せるだろうと思っていた。出来としては60点。結果オーライですけど良かった」

 ジャッジ1人がドローをつけたように序盤は屈強な相手に手を焼いた。それでも高く掲げるガードの間に左ジャブを差し込み、左ボディーでじわじわと痛めつけた。8回にはペレスの右目上を切り裂き、最後は相手を戦意喪失させた。テレビ番組で共演した卓球の石川佳純も応援に訪れた中で上々の結果を出した。

 1年ぶりのリングだった。当初は夏ごろに試合を予定していたが、対戦相手に逃げられ、過去最長のブランクを強いられた。「暇だし、寂しかった」とフラストレーションがたまった一方で、11年1月の三浦隆司(現WBC王者)との3度目の防衛戦の前に右手甲を脱臼して以来、常に不安の種だった右拳は100%復調。「確かめながら強く打てた」と要所で右を利かせることができた。

 サラリーマンから30歳で世界王者になり、ほぼ5年間ベルトを守り続けている。7月、気分転換を兼ねて初めて聖地ラスベガスを訪れた。観戦したのはスーパーウエルター級の元世界王者、サウル・アルバレスの一戦。印象に残ったのは米国人ではないメキシコ人が大歓声を浴びる姿だった。目の前に広がっていたのは拳一つでのし上がっていくことができる世界。「自分もいつかあの舞台で戦いたい」と米国進出の思いを強めた。

 次は予行演習を済ませた米国進出か、WBC王者三浦との統一戦か。側頭部には白髪も目立ち始め「年々増えるんで、染めようか悩んでます」と笑う35歳。ボクシングに衰えの見えないベテランはどんな道にも進める準備はできている。

 ◆内山 高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日、埼玉県春日部市出身。花咲徳栄高でボクシングを始め、拓大4年から全日本選手権ライト級3連覇。05年7月プロデビュー。07年9月に東洋太平洋スーパーフェザー級王座獲得。10年1月にWBA世界同級王座獲得。1メートル72。右ボクサーファイター。

 ▼日本プロボクシング協会・大橋秀行会長 内山は1年ぶりの試合で心配された部分もあるけど、生命線の左ジャブとディフェンスが良かった。ここまで来たら(防衛記録13回の)具志堅さんの記録を破ってほしい。

 ▼元WBA世界ライト級王者・畑山隆則氏 内山はまさに横綱相撲。文句の一つでも言おうと思ったが文句のつけようがない。年齢(による衰え)も全く感じない。

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